2004年に法務省が「戸籍法施行規則の一部を改正する省令」を施行し、複数の大手IT企業が戸籍手続オンラインシステムのサービスを自治体向けに販売開始した。「自宅のパソコンから電子戸籍証明書の請求や交付、婚姻届などが可能に」「インターネットを使って戸籍の謄抄本や電子戸籍証明書の請求・交付、婚姻届など各種届出が可能になります!」と、各社は揃って婚姻届を例示してシステムを宣伝していた。 しかし、婚姻届は未だオンライン化されていない。婚姻届には戸籍の謄抄本が必要な場合もあるのだが、それに相当する「電子戸籍証明書」が利用されているという話も聞かない。4年前のそれは、空騒ぎであった。 経緯を遡ってみると、行政手続のオンライン化は、2001年に内閣に設置されたIT戦略本部によって推進が始まった。同年の「e-Japan重点計画」において、国民等と行政との間の実質的にすべての行政手続を2003年度までのできる