僕は常時寝不足なので、買った小説の8割がたは100ページ前後で眠くなり、二度と手に取ることなく捨ててしまう。そんななか、カフェをはしごして8時間ほどで最後まで一気読みしてしまったのが、カミカゼアタック(神風特別攻撃隊)の当事者を主人公として当時の国や家族模様を描いた本書である。小説では『手紙』(東野圭吾)以来の当たりだった。 本作がデビュー作だった百田氏は、持ち込みに際し、大手出版社が軒並み却下し、最後に畑違い(サブカル系メイン)の太田出版が出してくれてダブルミリオン(200万部)突破、というだけでも読む価値がある。大手出版社の文芸編集者がいかに新人を無視し、作品の中身を見る眼が欠落しているか、がよくわかるエピソードだ。 僕がいいと思う小説は、正面から「カ・ド・コンシアンス問題」(悩みに悩んでも正解が得られない問題)をメインテーマとして扱っているもの。サンデル教授の白熱教室のように、答えの
![『永遠のゼロ』(百田尚樹)が描く人命軽視なブラック企業の起源](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/986d04e4678eee879c34927cf3e9bfe3b6749a62/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.mynewsjapan.com%2Fimages%2Fh6qF4b_rdgBaxGrBaiTIvQlQ_FI%3D%2F9938%2Ffill-200x200%2FBlogsIMG_A20130815192816.jpg)