「あり得ない」「やっぱり」「安全宣言を信じていたのに」。福島市大波地区のコメから国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超す630ベクレルの放射性セシウムが検出された。「全量基準値未満」と判定した検査に基づいて福島県産米の出荷解禁を打ち出した県の安全宣言が覆り、地元農家や消費者は怒りと不安を強めている。 「大波のコメは県の本調査で28ベクレルと33ベクレルだった。630ベクレルという数字はあり得ない」。福島市大波地区で水田32アールを耕作する市農業委員の佐藤秀雄さん(64)は、驚きと戸惑いを隠さない。 佐藤さんの水田は問題のコメを作った農家から約2キロ南にある。今年収穫したコメは親類に配る予定だったが、国の出荷停止指示でできなくなった。「農家は県の検査を信頼していたのに。もう大波のコメは誰にも食べてもらえなくなるのではないか」とこぼす。 新ふくしま農協(福島市)は自主検査