全国の家畜市場で取引される生後8カ月の黒毛和牛の子牛の価格が年々高騰し、4年間で1.4倍にまでなっている。子牛を供給する繁殖農家の高齢化で飼育頭数の減少に歯止めがかからないのが原因とみられる。飼料代もあり、子牛を買って育てる肥育農家は採算が取れず、悲鳴を上げている。この上に牛肉の販売価格が下がればダメージは計り知れず、関係者は牛肉の関税引き下げが焦点になっている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の行方に危機感を募らせている。【取違剛】 【豚流行性下痢で市場不安】豚肉高騰? 農水省、冷静な対応を 「2年ほど前までは1頭47万〜48万円だったが今では平均60万円。やりきれない」。熊本県菊池市で黒毛和牛など約800頭を飼育する肥育農家、安武孝之さん(66)は、近年の子牛の価格高騰に渋い表情だ。 黒毛和牛は繁殖農家が生後8カ月まで育てた牛を肥育農家が買い取り、20カ月ほど育てて出荷する