1914年の第一次世界大戦の開戦直後、ドイツの「捕虜」となった日本人医師が獄中などでの体験をつづった手記が、神奈川県秦野市の遺族の自宅から見つかった。2カ月以上に及んだ拘禁中、ドイツ人から罵声を浴びた様子や、監獄の劣悪な状態などが生々しく書かれている。当時の日本人「捕虜」の実態はほとんど知られておらず、研究者は「日本と第一次大戦のかかわりを見直すうえで重要だ」と話す。手記は今年秋に出版され、97年ぶりに日の目を見ることになる。 見つかったのは、開戦時チェコに留学中だった札幌市立札幌病院内科医長の植村尚清(ひさきよ)氏(1881〜1963年)が書いた「第一次世界戦争中ドイツ幽閉記」。A4判大の紙数十枚とノート1冊にペンでつづられていた。獄中で記したメモをもとに解放後、折に触れて書いたと見られ、計約9万字に上る。植村氏は当時の外相、加藤高明(後に首相)のいとこ。長男(故人)の妻、朋子さん(8