がれきの中に咲いたヒマワリに水をやる新柵さん。奥に自宅があったが、津波で流された(宮城県石巻市で)=西山幸太郎撮影 東日本大震災の津波で家を流された宮城県石巻市の新柵(しんさく)ひろ子さん(40)の自宅跡の近くで、1本のヒマワリががれきの隙間から茎を伸ばし、大きな花を咲かせている。 新柵さんは震災の日、仕事に出ていて無事だったが、兄のように慕っていた近所のパブのマスター(52)が津波にのまれ、亡くなった。20年前から通った店。聞き上手のマスターは、失恋の相談をすると「毎日ここに来たらいい」と慰めてくれた。悲報を知って体調を崩すほど落ち込んだ。 そんな気分を引きずっていた7月中旬のある日、倒れた電信柱やコンクリート片の間から、ヒマワリの茎が出ているのに気づいた。毎日水をやっていると、花が一輪咲いた。翌日、台風でなぎ倒されたが、一夜明けると少し姿勢を戻していた。添え木を立てた今は次々と咲き