昨季のプロ野球首位打者は、野球経験者がなんとなく抱いている「左打者が有利」という理論を見事に裏切ってくれた。 セ・リーグが巨人の長野久義(3割1分6厘)、パ・リーグがソフトバンクの内川聖一(3割3分8厘)で、ともに右打者だったからだ。 右の首位打者としては長嶋茂雄や落合博満などが記憶に残るが、2リーグ制になった1950年から2011年まで62年間を調べてみると、右打者が首位打者になったのは全体の3割強しかいない。右打者がセパ同時に首位打者になったシーズンは、62年間でわずか9回だ。 「左打者が有利」理論が強固なのは、マリナーズのイチローで明らかなように、左打者は一塁までの距離が1、2歩ほど右打者より近く、内野ゴロでもヒットになりやすいという野球の構造的問題からだ。しかし、もうひとつ重要だと思われるのは、全人類の中で左利きの人がなぜか1割以下しかいない少数派だということだろう。 過去