【ロンドン=内藤泰朗】英国のキャメロン首相が、国内で高まる欧州連合(EU)からの脱退論と、英国のEU脱退を阻止すべく圧力をかける欧米諸国との間で、ジレンマに立たされている。政府内からも、EUへの権限集中が緩和されない限り脱退も致し方ないとの見方が出始めた。首相が今月22日に行うとされるEUについての重要演説の内容に注目が集まっている。 英国におけるEU脱退論の高まりは、近年のユーロ危機や東欧圏からの移民の増大など、英国の国家主権を揺るがす事態が起きていることが背景にある。英国は銀行同盟の創設など最近の統合深化をめぐる協議でも一線を画し、孤立感を深めている。世論調査ではすでに、EU脱退派が過半数に達している。 キャメロン首相は「脱退は国益に反する」と訴えてきたが、与党・保守党の強硬派は、来年にもEU脱退の可否を問う国民投票を実施するよう要求。2015年の総選挙後に国民投票を実施すると語っ