Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米ライス大学の研究チームが開発した「Necrobotics: Biotic Materials as Ready-to-Use Actuators」は、死んだクモの体を再利用し、クモの動きのメカニズムを利用したロボットグリッパーだ。クモの死骸に注射針を刺し、そこから空気を注入することで脚の開閉を機械的に行い、物をつかみ取る。 クモが死ぬと全ての脚が内側に丸まることが知られている。これは生前に脚を筋肉で動作させているのではなく、液体をエネルギー媒体にした油圧式によって動かしているからである。クモの脚には人間の上腕二頭筋や上腕三頭筋のような拮抗する筋肉がなく、脚を内側に縮める屈筋だけがあり、前
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