南海トラフ沿いで史上最大とされてきた宝永地震(1707年、マグニチュード8.6)のものよりも大きな津波が、過去に紀伊半島を襲ったことを突き止めた、と産業技術総合研究所などの研究グループが発表した。和歌山県串本町の名勝「橋杭岩(はしぐいいわ)」周囲の巨石の状況やシミュレーションを基に結論付けた。過去の津波と同程度のものは今後も発生し得ると考えるべきで、古地震の解明を基に、地震や津波防災の重要性を再認識する成果となった。 南海トラフ沿いでは歴史上、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(46年)など大きな地震や津波が繰り返しており、大規模地震の発生が懸念されている。南海トラフのほぼ全域が滑った宝永地震は史上最大とされてきた。ただ、宝永のものよりも大きな津波があったかについて、詳しい研究はされていなかったという。 そこで研究グループは、岩柱が海岸付近の南北約850メートルにわたり直線状に並ぶ