倭寇の恩恵を受けた大名はいたのか ──日本の守護大名は、倭寇の活動の恩恵を受けていたのですか。 これは学会では議論になっている点です。結論から言うと、私は大宰府を拠点にしていた少弐氏(しょうにし)と、その家来だった対馬の宗氏(そうし)が大きな役割を果たした説を支持しています。彼らが倭寇の活動から莫大な利益を得ていたように見えます。 たとえば高麗と往来していた船に、高麗公事(こうらいくじ)という税を課していたことが史料からわかります。公事とは税のことです。それから唐人、つまり奴隷にも特別な税を課していました。つまり、倭寇の活動に税を課していたわけです。 さらに、倭寇が持ってきた品物が少弐氏の元に流れる傾向があったように見えます。なので、おそらく倭寇の活動がもたらした経済効果は、少弐氏や宗氏にとって、とても重要だったと考えています。 韓国の李領(イ・ヨン)などの歴史家は、倭寇が本格的に始まった