年齢とともに認知機能が低下し始めることは周知の事実だ。友人の誕生日を覚えていられなくなり、眼鏡や財布をどこに置いたか忘れ、やがて思考がなまって物事を混同したり、まごついたりするようになる。年をとれば避けられない、自然のなりゆきである。 ──本当にそうだろうか? 米神経科学会誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表された新しい研究結果によると、「スーパーエイジャー」(super-agers、スーパー高齢者)と呼ばれるごく少数の幸運な高齢者たちは、実年齢が80歳を超えているにもかかわらず、脳の健康状態は50~60代と同等の水準を維持している。今回、スーパーエイジャーは同年代の一般的な人と比べて、記憶力や認知能力に関連する大脳組織である白質の減少が少ないことが明らかになった。 白質──脳の「幹線道路網」 私たちの脳は、灰白質と白質という2種類の組織で構成されている。認知に関する議論や研究でよ