エルサレム南部。アパートが立ち並ぶ、閑静な住宅街の奥深くで発見された遺跡。ノースカロライナ大学シャーロット校の教授で、キリスト教の起源と古代ユダヤ教を研究する著名な学者で歴史家であるジェームズ・テイバー博士は、これを「イエス一族の墓」と思われると発表した。 以降、数々の論争が起き──。 「キリスト磔刑の現場」に新説 学会を仰天させたある考古学者の提言 に続き、テイバー博士の「発見」とその後の論争について見ていこう。 墓、初期の信者、そしてイエスの家族? 旧市街から南へ3キロも離れていないエルサレムの東タルピオット(アルモン・ハ・ネツィブ)地区で発見された2つの墓の調査は、考古学会のみならず広く世間の注目を集め、論争を呼んだ。 2つの墓は一般には「イエス一族の墓」あるいは「庭の墓」、「パティオの墓」として知られている。テイバーと同僚たちは、これらの墓の発見は、これまで発見された中でももっとも