卒業式、謝恩会が終わる。 これでこの大学の卒業イベントにかかわるのも、あと残すところ一回だけである。 そう思うと、20 回も出ている「いつもながらのイベント」も何かしら「かけがえのないもの」に思えてくる。 その意味では、一生に一度だけしかこれを経験しない卒業生たちの感懐に近いものがある。 謝恩会の「締めの挨拶」を学生から頼まれたので、ひとことご挨拶をする。 「教育のアウトカムは卒業時点で考量されるものではなく、卒業生ひとりひとりが卒業後に過ごす時間のなかで形成してゆくものである」と申し上げる。 自分がそこで何を学んだかは、卒業してから長い時間が経たないとわからない。 ひとによっては数十年経ってはじめて受けた教育の意味がわかるということが起きる。 それは、卒業時点で眼に見える知識や技術や資格や免状を持つことよりも、ずっと教育的には意義のあることだと思う。 私はそれを「卒後教育」と呼んでいる。