人間と食塩との関係は複雑だ。私たちの体が機能するためには少量の食塩が必要だが、ほとんどの人は1日の推奨摂取量をはるかに超えた量を摂取している。(Photograph by Jozef Vaclavik, Getty Images) 食塩は、愛すべき、どこにでもある、なくてはならない調味料だ。必要不可欠な栄養素でありながら、取りすぎると深刻な病気を引き起こす。しかし、どれくらいの量を取れば過剰なのかについては、科学者の間でも意見が分かれている。 健康な成人の食塩摂取量について、世界保健機関(WHO)は1日5グラム未満、米国心臓協会(AHA)は1日5.8グラム以下に抑えるよう勧めている。さらにAHAは、高血圧の人には、その約3分の2にあたる3.8グラム以下を推奨している(編注:厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では男性は7.5グラム未満、女性は6.5グラム未満、高血圧および慢
