『労働新聞』に代わる代わる月1回連載してきた書評コラムですが、新年からは「本棚を探索」というタイトルで、引き続きやっていきますのでよろしく。 その第1回目が本日ネット上にアップされています。ブランコ・ミラノヴィッチの『資本主義だけ残った』です。 https://www.rodo.co.jp/column/119798/ 昔のキャラメルのCMではないが、1冊で2度おいしい本だ。1つ目はアメリカをはじめとする今日の西側の資本主義を「リベラル能力資本主義」と規定し、それがもたらすシステム的な不平等と、それがなまじ能力による高い労働所得に基づくがゆえに旧来の福祉国家的な手法では解決しがたいパラドックスを描き出す第2章である。 19世紀の古典的資本主義では、資本家が裕福で労働者は貧しかった。20世紀の社会民主主義的資本主義では、社会保障や教育を通じてかなりの再分配が行われた。これに対して、21世紀の