厚生労働省は昨年12月、2022年度の障害者虐待と高齢者虐待の状況をそれぞれ発表した。福祉施設での虐待被害を見ると、利用者自体は高齢者のほうが障害者より圧倒的に多いのに、虐待件数では逆転していた。単純に計算すると、障害者のほうが7倍以上も被害に遭っていることになる。なぜなのだろうか。調べてみると、さまざまな要因が絡んでいることが分かったが、一つの根本的な原因が浮かび上がってくる。(共同通信=市川亨) ▽家族による虐待は高齢者のほうが多い 高齢者と障害者どちらについても、虐待を発見した人は誰でも市町村に通報する義務や努力義務が法律で定められていて、厚労省が毎年度の状況を発表することになっている。 厚労省の発表を見てみると障害者、高齢者とも「家族(養護者)による虐待」と「施設職員による虐待」の二つに大別される。いずれも、近年は意識の高まりもあって通報件数が増えている。 家族による虐待では、高齢
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