解雇規制の議論では、中小企業は人をバンバン切っているので、解雇規制があっても関係ない、という主張をしばしば見かける。解雇規制というテーマは、解雇規制を守っている大企業だけの話であり、中小企業は関係ない、という見方だ。 これは、まるで逆ではないだろうか。 大企業は、人を切らなくてもやっていく余裕がある。モラルや遵法意識が高いという以上に、現実的には、この「余裕がある」という側面のほうがはるかに大きいと思う。 いっぽう中小企業には、この余裕がない。よって、人を切らざるをえないのだ。 しかし中小企業であっても、少なくとも私の知る限り、人をバンバン切るような会社はむしろ少数派だ。余裕がないけれども、それでも人を切らずになんとかやっていくか、そもそも採用しないか、どちらかだろう。 表向きは、大企業のほうが解雇規制を守っていて、そのコストを多く負担しているように見える。いっぽう中小企業は、大企業よりも