2006年、IT業界人がこぞって手にしたのがグローバル化を説いたトーマス・フリードマンの著書『フラット化する世界』(原題はThe World Is Flat)だった。このテーマの伝道師の1人が米IBMのサミュエル・パルミサーノCEO(最高経営責任者)であり、米外交戦略を動かすとも言われる外交問題評議会の機関誌Foreign Affairsに、多国籍企業からグローバル企業に変身するIBMの戦略を「グローバルに統合された企業」と題して寄稿した。 だが同じ2006年、IBMはIT売上高首位の座を企業買収で太った米ヒューレット・パッカード(HP、当時)に奪われた。そして米アマゾン・ドット・コム傘下のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)がクラウドによるストレージサービスを開始したのも2006年だった。新参者だったAWSは15年間でIT産業のルールを書き換えてしまう。 AWSはインフラ(IaaS)から