フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月23日、イスラム武装勢力との戦闘が起きたミンダナオ全島に戒厳令を布告。それから30日までに民間人を含む100人超が死亡する事態に発展した。 40年余りに及ぶ“イスラム紛争”が終結し、和平プロセスが進んでいたミンダナオ島で何が起きているのか。そこにはIS(イスラム国)の浸透を含むフィリピン、そして東南アジアのイスラムネットワークが絡んだ複雑な状況がある。 「テロリストどもを叩き潰す!」 この事件の経緯をまとめておく。ミンダナオ島の中でもイスラム教徒が多く居住するバンサモロ地域の南ラナオ州都マラウィで23日、イスラム過激派「マウテ・グループ」と政府軍の銃撃戦が発生し、マウテ側は市庁舎や刑務所、大学、病院などを占拠して、民間人を人質に抵抗を続けた。 ミンダナオ南西沖スールー諸島のイスラム過激派で、ISに忠誠を誓う「アブ・サヤフ」幹部のイスニロン・ハピロ