先日、知り合いの大学3年生が会社に来た。マスコミを志望して就職活動中だという。僕は「正直言って、あまり勧めないよ」と言った。「なぜですか?」と聞かれ「マスコミに絶望しているとかいうことではない」と前置きして、こう答えた。 現在のマスコミは、かつてと比べて記者を育てるシステムの精度がかなり落ちている。たしかに各社とも記者研修制度はあり、それなりの成果を収めてはいる。しかし、さまざまな批判はあるが、以前の業界には記者クラブ制度が確立していた。取材や記事の何たるかを全く知らない新人でも、そこに投げ込めば、同じ会社の先輩だけでなく、同業他社の記者たちがよってたかって教えて(時にはしかったりバカにして)くれる。そこに1、2年いれば、一応記事が書ける程度には「養成」してくれるシステムだった。僕も振り出しは都内の「サツ回り」だったが、共同の先輩よりも、毎日クラブで一緒に時間を過ごす他社の先輩たちに取材の