政府は全国の原発施設に「ストレステスト(耐性試験)」を課すことを決めた。本来、もっと早く実施すべき施策であり、ここに至った経過にも疑問は残るが、各原発の安全性を評価する上で一歩前進だ。 東京電力福島第1原発の事故後、原子力安全・保安院は複数の応急措置を指示してきた。しかし、各原発の脆弱(ぜいじゃく)性が総合的にどう克服されたかは示されていない。 福島のように設計上の想定を超える事象が起きた場合に、原発の安全性はどう確保されるか。さまざまな防護策が次々失敗し過酷事故にいたるまでにどれぐらい余裕があるか。ストレステストでは、総合的に示すことが求められる。 テストの手法と実施計画は、原子力安全委員会の要請に基づき保安院が作成する。手法や項目はテストの信頼性の要だ。初めから「合格ありき」にならないよう、時間をかけて緻密に作ってほしい。テスト終了まで再稼働を見合わせるのは当然だ。 福島の事故を踏まえ