行動は、欲望、情熱、恐怖、つまり情動によって引き起こされます。明確な欲望に動かされて決断を下す人物たちがいて、彼らが他者を巻き込むと、集合的な欲望が形成されます。それが歴史を変える要因となるのです。 たとえばロシアのプーチン大統領は、欲望に衝き動かされてウクライナ侵攻を決断しました。権力を行使したいという欲望、自分の金とロシアの偉大さを守りたいという欲望、西側に復讐したいという欲望──何でもいいですが、とにかくそれは「欲望」であり、論拠はそのあとに生まれます。 プーチンは演説のなかで、戦争を正当化するために西側に対する恐怖と、ロシアの偉大さを取り戻す必要性、そして彼が望む徴兵の必要性をロシア国民のうちに目覚めさせようとしました。論拠だけで人々を徴兵することはできません。論拠が欲望と結びつく必要があるのです。権力は、最大の欲望の一つです。そしていかなる権力も、国民が服従しなければなりません。