世界各国が観光客誘致にしのぎを削る中、オランダのアムステルダム市は観光客の抑制にかじを切った。 「夜中もこんなにうるさいとは思わなかった」。1年ほど前、アムステルダムの郊外から中心部に引っ越してきた美術史家のヒールチェ・ワーンダースさん(59)は今、訪れる観光客に悩まされている。 酒に酔って朝方まで外で叫ぶ外国人。路上に捨てられるゴミ。民家への破壊行為。観光シーズンの春から夏にかけて一層ひどくなり、夜は不眠がちになる。「来る人は歓迎したいが、迷惑行為は歓迎できない」 観光業者も困惑する。創業70年の遊覧船会社ローファースのPR担当、セルジオ・セーハースさんは「運河を巡りながら大麻を吸う『スモークツアー』や酒が飲み放題のボートも出てきた。遊覧船のイメージにも悪影響があるから取り締まってほしいが、市の態勢が追いついていない」。 観光客が増え始めたのは10年ほど前からだ。 市や観光業界が連携して