待機児童解消の目玉政策として内閣府が主導する「企業主導型保育」。筆者はその問題点を以前も「保育園業界を蝕む『助成金不正受給』の実態」などで指摘している。今回は、資金繰りが悪化して保育士たちへの給与支払いが滞り、2018年6月末に閉園した企業主導型保育所の実態を取材した。 都内に半年間で5カ所を開園 西日本で企業主導型保育所の運営を手掛けていた、ある株式会社(A社とする)。A社は2017年2~7月にかけて東京都内に5カ所の園を次々とオープンさせた。同じ経営者が別法人を立てて運営する施設も存在する。 しかし、オープンまもない2018年3月、その中の1つの園で保育士たちの給与の支払いが遅れ、園の職員全員が退職するという事態に発展した。さらにこの園は同時期に急きょ保育園の名称を変更。一連の事態を受け、経営者は保護者説明会を開いたが、一度保護者が抱いた不信感を消すことはできなかった。 結局、転園を希