ジャーナリズム論の古典的名著『最近新聞紙学』(1915年刊)。著者・杉村楚人冠はその昔、日本で初めて朝日新聞社に記事審査部を創設したジャーナリストである。そして現代、記事審査室に所属し、この名著をもじった個人ブログ「新聞紙学的」で、デジタル時代のメディア情報を発信する人がいる。平和博さんだ。(編集部) Text: Takeshi Sato Photos: Tsukuru Asada 朝日新聞に勤務する平和博さんの名刺には、「記事審査室幹事」と「デジタルウオッチャー」というふたつの役職が記されている。これがどんな仕事なのか、ご本人に説明していただく。 「朝、出社する前に朝日、読売、毎日、日経、産経、東京の6紙の新聞を未明から数時間かけて読みます。出社してからは、記事のどこがよかったとかどこが足りなかったとか、うちはこう書いているけれど他紙はこう書いているということを毎日スタッフで議論し、分担