東急ハンズの場合、技術者は「バーサタイリスト」だ。つまり、一人で何でもやる技術者である。要件定義からプログラミングまでの全てを担う。IT部門がバーサタイリスト集団になることで、ビジネスの要請に即座に対応して、システムをスピーディーに作り上げられるようにしているのだ。 ただ、技術者がそんな万能選手になることが、実際に可能なのか。その問いに対して、長谷川秀樹執行役員は「企業の規模が大きくなると、必要なシステムが複雑になり、分業しないと作れないと考えるのは、一種の思い込みだ。クラウドやツールがそろってきた今では、やる気さえあれば技術者は一人で大概のことができる」と解説する。 極端な例が、前回紹介した56歳の新人プログラマーの鎌田氏だ。システム開発の経験は無いが、システム導入プロジェクトに関わることで、「ITによってビジネスを大きく変えられる」(鎌田氏)ことを経験した。そこで役職定年を迎えたのを機