ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》) 作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 10章「結論」がまだ残ってるけど、特に新しい話題が出てくるわけではないので、この9章でラストということにしたいと思う。 第9章 規範倫理学 イントロ 道徳哲学者たちは、人間同士の利他的ないし協力的行動を説明する上での問題をろくに考えてこなかった。つまり、理想的な道徳理論をつくったとしても、本当に人々がその通りに動くかどうかはわからないという問題だ。 その点、進化理論家たちの説明の仕方は役に立つ。しかし、彼らは逆に行きすぎている面がある。生物学的システムのダイナミクスを研究するのに用いられたのと同じ種類のゲームが、文化的システムにも拡張できると仮定してしまっているのである。それは愚かな仮定だ。 9.1 進化ゲーム理論の問題点 「集合行為問題における協力」を生物学的要因で直接するのは無