「本が読めなくなった」といわれる現代の若者だが、本当にそうなのだろうか? 米国の大学で文学を教えている筆者が、理系の大学生に難しい長編小説を読ませたところ、思いがけないことが起こった。テクノロジーに注意力を奪われ続ける現代で、読書を通じて私たちが本当に得ているものとは──。 学生たちを疑ったことを後悔 この15年で、子供たちは本を読まなくなった。少なくとも、教師側がかつてのような読み方を求めなくなったのは確かだ。 私たちはいま、リール動画をはじめとする「切り抜き」の時代に生きている。昔ながらの文学の授業でさえ内容は大幅に切り詰められ、最近の調査によれば、いまや米国の高校において、英文学の授業で1年間に課される書籍の量は3冊に満たないという。 2007年から大学で英文学を教えてきた私もまた、この変化の影響を目の当たりにしてきた。そして、学生の注意力がだんだんとすり減ってゆくのも、身をもって体

