筆者は新卒エンジニア時代に社内でアルゴリズム勉強会を主催していました。 その内容を本形式に書き起こしたものになります。 【この本の特徴】 📗問題演習形式でアルゴリズムの基礎が身に付く構成となっています。 📗分かりにくい概念は丁寧に図解で解説しています。 📗基礎的なアルゴリズムがどのように世の中に役立っているのかを言及しています。 アルゴリズムに関して、皆さんの理解を深めるお手伝いができれば幸いです。
すごいニュースが飛び込んできた。オセロの必勝法が見つかったのだ。正確に言うとオセロが弱解決された。まずはその論文を紹介する。 Othello is Solved : https://arxiv.org/abs/2310.19387 「弱解決(weakly solved)」を簡単に言うと、初期局面からの双方最善手を打つ時の結論(勝敗)がわかったと言う意味である。8×8のオセロの結論は引き分けなのだそうだ。「必勝法が見つかった」と本記事のタイトルで書いたが、その結果として双方最善を尽くした時のオセロの結論が引き分けだったことが判明したので正しくは「必勝法(必ず勝てる方法)が存在しないことが証明された」とでも言うべきか。 今回は、初期局面から到達できるあらゆる局面についての結論(勝敗)がわかったわけではない。こちらは「強解決(strongly solved)」と呼ばれる。 弱解決と強解決とでは、
IBIS 2023 企画セッション『最適輸送』 https://ibisml.org/ibis2023/os/#os3 で発表した内容です。 講演概要: 最適輸送が機械学習コミュニティーで人気を博している要因として、最適輸送には微分可能な変種が存在することが挙げられる。微分可能な最適輸送は様々な機械学習モデルに構成要素として簡単に組み入れることができる点が便利である。本講演では、最適輸送の微分可能な変種とその求め方であるシンクホーンアルゴリズムを紹介する。また、この考え方を応用し、ソーティングなどの操作や他の最適化問題を微分可能にする方法を紹介するとともに、これらの微分可能な操作が機械学習においてどのように役立つかを議論する。 シンクホーンアルゴリズムのソースコード:https://colab.research.google.com/drive/1RrQhsS52B-Q8ZvBeo57vK
このように、競技プログラミングはコーディングの正確性が問われるコンテストです。 どんな問題が出されるか(2) 競プロは正確性だけではありません。例えば、以下の問題を考えてみてください。 $N$ 枚のカードが一列に並べられています。 左から $i$ 番目のカードには、整数 $A_i$ が書かれています。 あなたは $N$ 枚のカードの中から $2$ 枚同時に選び、取ることができます。取った $2$ 枚に書かれた整数の合計がちょうど $101$ となるような、カードの選び方の通り数を求めてください。 テストデータの制約:$1 \leq N \leq 10^{6}, 1 \leq A_i \leq 10^{9}$ 一番最初に考えられる解法は、以下のように「何枚目と何枚目を選ぶか全探索する」という方法だと思います。つまり、$1 \leq i < j \leq N$ を満たすすべての $(i, j)
暗号通貨でもよく取り上げられる、ゼロ知識証明について、以下の記事が分かりやすかったので、みなさんにも紹介したいと思います。 数式は一切登場しません。イメージで理解でます。 引用元 ゼロ知識証明って?? ゼロ知識証明とは、ある人(証明者)が別のある人(承認者)に対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法のことです。 暗号学で使われている、証明プロトコルの一種なんですが、これだとまだ理解できないですね。 証明とは、ある主張が正しいこと納得させる手段です。そして、証明プロトコルとは主張を納得させたい証明者と、証明の正しさを確かめる検証者が存在し、最終的に検証者を納得させる暗号プロトコルです。※プロトコル:処理手順 具体的に、どういう時に使うのでしょうか? ・Webサービスにログインする時:パワードを入力する代わりに
こんにちは、大学 1 年になったばかりの E869120 です。 私は競技プログラミングが趣味で、AtCoder や日本情報オリンピックなどに出場しています。ちなみに、2021 年 5 月 9 日現在、AtCoder では赤(レッドコーダー)です。 本記事では、アルゴリズムが実生活と結びつくトピックについて紹介したいと思います。 【シリーズ】 実生活に学ぶアルゴリズム【第 1 回:セブンイレブンでは 500 円で何カロリー得られるか?】 実生活に学ぶアルゴリズム【第 2 回:3 つのアルゴリズムで最適なソーシャルディスタンスを求める】 実生活に学ぶアルゴリズム【最終回:1000 個の六角形ピースをたった 45 回の切断で作る方法、そしてアルゴリズムを学ぶ意義】 1. はじめに 21 世紀となった今、世の中には様々な問題があふれていて、そのうちいくつかは皆さんの生活の中で考えたことがあると思
こんにちはkamikawaです 今回は無料で利用できる機械学習、データサイエンスに関するサイトや書籍をまとめました 私自身も機械学習プロジェクトに関わった経験があるのですが、ここに載せたサイトや資料を勉強に使っていました 機械学習エンジニアを目指す人必見です 入門者レベル〜応用・発展レベルまで幅広く載せていますレベルは個人の見解です。(あくまでも参考程度に) 日本語のものと英語のものを紹介します 海外の大学の講義もあるので英語の勉強にも使えます 海外でのキャリアを考えている方も必見です 対象読者 機械学習を学びたいけどお金をかけたくない人 独学で機械学習を身につけたい人 機械学習エンジニアになりたい人 発展的な機械学習を学びたい人 日本語 Python 三重大学奥村教授のサイト 機械学習、様々な分析、スクレイピング、データ可視化、地図データ、CV、統計など幅広い分野を扱っている R編もある
この記事は「データ構造とアルゴリズム Advent Calendar 2020」16日目の記事です。 15日目の記事はyurahunaさんの「木分解上の動的計画法」で、 17日目の記事はtsukasa__diaryさんの「Lawler の K-Best 列挙アルゴリズム」です。 この記事内で使用しているプログラムやそのテストプログラムは全て以下のGitHubリポジトリで閲覧可能です。プログラムの詳細に興味がある方はこちらをご覧ください(ついでにStarを押していってくれると喜びます🙂)。 Github: ashiba/Imprementation_of_IKERUKANA: Momotaro Dentetsu is a game. 変更履歴 2020/12/21に「最終的に貧乏神が付かない移動方法 ~貧乏神持ちの場合~」, 「最終的に貧乏神が付かない移動方法 ~貧乏神がついていない場合~
オープンソース版 Open Data Structures 日本語訳の PDF ファイルを以下で公開しています。最新のソースコードは GitHub のリポジトリ https://github.com/spinute にあり、適宜こちらの PDF ファイルに反映しています。 以下のものは C++ 版です(Java 版はこちら、疑似コード版はこちらにあります)。 目次 訳者まえがき 本書の読み方 訳者謝辞 なぜこの本を書いたのか 謝辞 第1章 イントロダクション 効率の必要性 インターフェース 数学的背景 計算モデル 正しさ、時間計算量、空間計算量 コードサンプル データ構造の一覧 ディスカッションと練習問題 第2章 配列を使ったリスト ArrayStack:配列を使った高速なスタック操作 FastArrayStack:最適化された ArrayStack ArrayQueue:配列を使ったキュ
「量子理論の副産物に過ぎなかった」──東芝の「量子コンピュータより速いアルゴリズム」誕生秘話:「量子コンピュータとは何か」を問う“新たな壁”(1/5 ページ) 今、量子コンピュータの一種である「量子アニーリングマシン」で高速に解けるとされる「組合せ最適化問題」をより速く・大規模に解くべく、各社がしのぎを削っている。 米Googleと米航空宇宙局(NASA)が2015年に「従来のコンピュータより1億倍速い」と評した量子アニーラ「D-Wave」を作るカナダD-Wave Systems、量子アニーリングを模したアルゴリズムをデジタル回路上に再現する富士通と日立、光を用いて解く「コヒーレント・イジングマシン」を作るNTTの研究グループなどだ。IBMなどが作る「量子ゲート方式」の量子コンピュータを用いた組合せ最適化計算の研究も盛んだ。 各社が組合せ最適化計算に取り組むのは、これを高速に解けると交通渋
今回はJavascriptで、ブロックチェーンのデータ構造を実装します。ブロックチェーンのデータ構造を実際に作ってみると、その堅牢性が理解できると思います。nonceを求めるマイニング・アルゴリズムも実装します。 なお、P2Pでノード間で同期を取ったり、コンセンサス・アルゴリズムで合意形成を取るところまでは、実装しませんので悪しからず。 ブロックチェーンは「万能薬」でありません。他のプログラムと一緒で、あくまで、アルゴリズムを効率的に実現するデータ構造です。 分散環境下で、セキュアにデータをもつためのデータ構造とも言えます。 つまり、手段です。導入したからといって、問題が自動的に解決したりしません。 それでは早速、作ってみましょう。実際に作業するファイルは2つです。 mkdir project cd project npm init touch blockchan.js touch tes
NTT データ数理システムでリサーチャーをしている大槻 (通称、けんちょん) です。 今回はソートについて記します。 0. はじめに データ構造とアルゴリズムを学ぶと一番最初に「線形探索」や「ソート」が出て来ます。これらのテーマは応用情報技術者試験などでも頻出のテーマであり、アルゴリズムの Hello World とも呼ぶべきものです。 特にソートは、 計算量の改善 ($O(n^2)$ から $O(n\log{n})$ へ) 分割統治法 ヒープ、バケットなどのデータ構造 乱択アルゴリズムの思想 といった様々なアルゴリズム技法を学ぶことができるため、大学の授業でも、アルゴリズム関連の入門書籍でも、何種類ものソートアルゴリズムが詳細に解説される傾向にあります。本記事でも、様々なソートアルゴリズムを一通り解説してみました。 しかしながら様々な種類のソートを勉強するのもよいが、「ソートの使い方」や
Photo by Tim Samoff 秋山です。 皆さんはアルゴリズムについてどれくらい知っていますか?というか勉強したことありますか? 私はもともと情報系だったので学校でも習いましたが、paizaのプログラミングスキルチェック問題を作るときなどはいまだにいろいろ調べることもあります。 アルゴリズムについて勉強したことがない人の中には「ずっと気になってはいるものの、各プログラミング言語の書き方やフレームワークの使い方などを学ぶことに手一杯で、アルゴリズムはつい後回しになっている…」という方も多いと思います。 ただ、アルゴリズムを知らないままプログラミングを続けていると、少し複雑な処理を考えなければならなくなったときなどに、力技のやり方しか考えつかなくて「すごい人だったらもっとスマートな書き方ができるんだろうな……」と悶々としてしまうことがあるはずです。 今回はそんな方に向けて、アルゴリズ
分散システムについては、もう随分と前から学びたいと思っていました。ただ、それは一度首を突っ込んだら最後、ゴールのない迷路に迷い込むようなものなのです。どこまでも続いているウサギの穴のようなものです。分散システムに関する文献は星の数ほど存在します。様々な大学からたくさんの論文が発表されているばかりでなく、膨大な数の書籍もあるのです。私のような全くの初心者には、どの論文を読んだらいいのか、どの書籍を買ったらいいのか、見当もつきません。 そんなとき、一部のブロガーが、 分散システムエンジニア (それがどういう意味であれ)になるなら知っておくべき論文というものを推奨しているのを見つけました。その一部を紹介しましょう。 FLP , Zab , Time, Clocks and the Ordering of Events in a Distributed Systems , Viewstamped
Photo by Oferico 皆さんはアルゴリズムやデータ構造について勉強したことはありますか?そして、基本的なアルゴリズムについて、どのようなものがあって、どのようなときに使うとよいかといったことを説明することができますか? 仕事をしていると、プログラミング言語等の勉強や業務に忙しくて、正直アルゴリズムどころではないという場合がほとんどでしょう。しかし、いつか勉強しようと思っていたけど、基本的なアルゴリズムにどんなものがあるのかなんて今更聞けないな……ということもあるかと思います。 今回はそんな方に向けて、基本的なアルゴリズムの一部の概要に加え、アルゴリズムの勉強に役立つサイト、書籍をご紹介したいと思います。 ■アルゴリズムを学ぶ意味 例えば、ソート等については、通常はすでにソート関数があるので、自分で作らなくても済む=アルゴリズムも勉強しなくていいと思ってしまうかもしれません。しか
ほとんどの開発者は、自動のガベージコレクション(GC)を当たり前のように使っています。これは、私たちの仕事を容易にするために言語ランタイムが提供する素晴らしい機能の1つです。 しかし、最新のガベージコレクタの中をのぞいてみれば、実際の仕組みは非常に理解しづらいことが分かります。実装の詳細が無数にあるため、それが何をしようとしているのか、また、それがとんでもなく間違った事態を引き起こしかねないことについて十分理解していない限り、すっかり混乱してしまうでしょう。 そこで、5種類のガベージコレクションアルゴリズムを持つおもちゃを作ってみました。小さいアニメーションはランタイムの動作から作成しました。もっと大きいアニメーションとそれを作成するコードは github.com/kenfox/gc-viz で見ることができます。単純なアニメーションによってこうした重要なアルゴリズムを明らかにできることは
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