イスラエルのネタニヤフ首相は29日、イラク北部の混乱に乗じて支配地域を広げるクルド地域政府について「クルド人の独立への望みを支援すべきだ」と述べ、クルド国家の樹立を支持する考えを示した。テルアビブでの講演で語った。 ネタニヤフ氏は、イラクで台頭するアルカイダ系武装組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が隣国のヨルダンへ浸透することに懸念を示した。「テロの波は(地中海沿岸の)テルアビブの端ではなくヨルダンで止めなければならない」とも指摘。パレスチナがイスラエル軍の撤退を求める占領地ヨルダン川西岸に同軍が駐留する必要があると主張した。 クルド地域政府は今月、油田地帯にある都市キルクークを掌握するなど、独立の機運を高めている。イスラエルはイラクと外交関係がないが、クルド勢力とは協力関係にある。最近ではクルド自治区の石油がイスラエルに輸出されたとも報じられた。(エルサレム=山尾有紀恵)