耳の聞こえない聴覚障害者が当事者となる事件が後を絶たない。自身も聴覚障害者の弁護士が11年間、聴覚障害者の法律相談を続けたところ、約300件のうち約8割が聴覚障害者による手話を使った詐欺やマルチ商法の相談だったという。聴覚障害者には行政や司法へのアクセスが難しく、被害の発見や回復につながりにくいとの指摘が専門家から出ている。 1998年にろうあ者として初の弁護士になった田門浩弁護士(43)=都民総合法律事務所=は99年から11年間、毎月1回、司法へのアクセスが難しい聴覚障害者のために、手話を用いた無料法律相談会を開いてきた。 田門弁護士はこの経験から、聴覚障害者が詐欺被害に遭いやすい理由について、「聴覚障害者には約束なしで突然自宅に行く習慣がある」と指摘。「電話が使えないだけでなく、読み書きが苦手な人も多いため、ファクスや携帯メールではなく、直接訪問する。だから、見知らぬ人がいきなりや