東京株式市場で「インサイダー取引が常習的に行われているのではないか」との疑惑が浮上している。東京電力などの増資で公表前に大量の株式が「空売り」され、巨額の利益を得た投資家がいるとみられるからだ。証券取引等監視委員会は調査を始め、金融庁と東京証券取引所も規制の検討に着手した。 ■情報流れ大量売買か 「海外の投資家から『日本ではインサイダー取引が横行している』と言われる。ゆゆしき問題だ」。東証幹部はこう憤る。疑惑が浮上しているのは、7〜9月に発表された東京電力、日本板硝子、国際石油開発帝石の3社の公募増資だ。3社とも増資発表前から株価が急落している。 9月29日に約5500億円の増資を公表した東京電力の場合、発表時間は市場が閉じた後の午後4時半だった。にもかかわらず、この日は空売りによる大規模な取引が続発し、通常の6〜10倍の売買があった。この結果、株価は前日終値に比べて7.8%も下落した