自民党はきのう(2日)、世襲制限導入の見送りを決めた。世襲の新人候補の立候補制限は、次の次の総選挙に持ち越されることになった。 これにより、党内を二分していた論争に、一応の決着がついた格好だ。小泉純一郎元首相の次男・進次郎氏の公認も了承されることになるだろう。 自民党の党改革実行本部は明日にも、麻生首相に対して答申書を提出する方針だ。ただし、時期を明記していない以上、世襲問題が解決する可能性は小さい。 しょせん世襲議員を多く抱える自民党には、この問題を解決する意思も力もないのである。単なる選挙目当ての論争だといわれても仕方ないだろう。 これに対して、民主党はこの議論では一歩リードしている。すでに党の内規によって、3親等以内の親族の同一選挙区からの立候補禁止を決めた。さらに、政治資金規正法の改正案を提出し、親族同士の政治資金管理団体の非課税相続の禁止を目指している。 世襲がひ弱な政
自民党は「世襲制限」を掲げる方針の民主党に対抗し、国会議員の世襲制限について、次期衆院選から国会議員の親族が同一選挙区から連続して立候補することを禁止する方向で調整に入った。正式決定されると、小泉純一郎元首相の次男進次郎氏などが自民党公認では立候補できなくなる。 しかし、この世襲制限案は自民系世襲候補が無所属で立候補した際、党県連が支援できるなど抜け道が多い。自民党は別のやり方で民主党の世襲制限に対抗すべきではないだろうか。そこで、前回に引き続いて、「政治家の世襲問題」について論じたい。特に、自民党の人事システムである「年功序列(当選回数至上主義)」と「世襲問題」を関連付けて考えてみる。 世襲議員の問題は 政界の「入口」だけではない 現在の「政治家の世襲問題」に対する批判は、主に政界への新規参入のハードルが高くなり、外部にいる優秀な人材が政界に参入しづらくなるというものだ。ただ私は、
自民党が次の総選挙から世襲候補を公認しない方向となり、与野党で世襲制限論争が過熱してきた。対象は新顔で、小泉元首相の次男ら2人とみられる。ただ、無所属で出馬・当選後に追加公認するなどの「抜け穴」もちらつく。 自民党で世襲制限を真っ先に掲げた菅義偉選挙対策副委員長が21日に発足させた、議員連盟の初会合。かつて小泉改革を熱狂的に支持した若手の一人がまくし立てた。「小泉さんのところでも公募や予備選をやれば良かったんだ」 菅氏は先月23日、小泉氏の「偉大なるイエスマン」を自称する武部勤・党改革実行本部長を訪ね、口説いた。息子に自らの秘書をさせている武部氏は当初、世襲制限に前向きではなかったが、菅氏との会談後、一変する。 10日、地元・北海道北見市の講演で「世襲制限してもいい。親の特権は許さない。公認をもらえないなら無所属で出ればいい」と発言。11日には東京都内で小泉氏と会談し、その2日後、自
自民党の党改革実行本部(本部長・武部勤元幹事長)は21日、国会議員の世襲制限を次の総選挙から実施する方向で調整に入った。国会議員の子供ら親族が同じ選挙区から続けて立候補する場合に公認しないことを内規で定める。小泉元首相が地盤を譲ると表明した次男・進次郎氏の公認も見送られる公算が大きくなった。 自民党は、菅義偉選挙対策副委員長が「次の次の総選挙からの世襲制限」を総選挙公約に盛り込むことを主張。世襲議員を中心に反発が広がったが、民主党が総選挙の政権公約(マニフェスト)の柱に世襲制限を掲げる方向になっていることを踏まえ、「自民党も公約に掲げないと選挙を戦えない」(幹部)との判断が強まり、実施時期を前倒しすることにした。 党改革実行本部は21日午前の会合で、同一選挙区から続けて立候補する親族は公認しないとする素案を示し、幹部への一任を取り付けた。親族の範囲などの詳細は引き続き検討するが、次の総
国会議員の「世襲制限」を総選挙の公約とするかが与野党ともに焦点となっている。現在、自民党全体の約4割が世襲議員である。政治家の息子が親の地盤を継承して政治家になるのが当たり前となり、能力があっても庶民が政治家になるのが困難であることに批判が集中している。 「世襲議員」とは、基本的に親族が作った選挙区での地盤をそのまま継承して選挙に当選した政治家のことを指す。但し、笹川堯氏や石原伸晃氏など地盤を引き継いでいない場合でも親子などの親族関係があれば世襲議員とみなす場合もある。要するに、マスメディアや識者などが「世襲議員」を取り上げる際、その時々でその範囲がバラバラであり、そのために少々議論が混乱しているようだ。そこで今回は、「世襲議員」の中で、特に「閨閥議員」について考えてみたい。 かつて、総理大臣に「世襲」はいなかった。 「世襲」という観点から戦後の歴代内閣総理大臣を振り返ると、吉田茂氏
次期総選挙に立候補を予定している881人(7日現在)のうち、親や親族から地盤を引き継いだ「世襲」は133人(15%)にのぼることが、朝日新聞社の調査でわかった。民主党では立候補予定者の8%だったのに対し、自民党は33%と約4倍。予定者のうちの世襲の割合より、現職議員や閣僚のうちの割合の方が高く、当選や出世に影響していることもうかがえた。 国会議員だった親や親族と同じ選挙区から立候補したり、選挙区の一部が重なっていたりする人を世襲と分類した。親や親族の地盤を引き継いでいない人も含めると、計176人になり、立候補予定者の20%にあたる。 世襲をめぐっては「地元での活動に割く時間が少なくて済み、国政に集中できる」などと評価する声の一方、「他の優秀な人材が立候補する妨げになる」との批判も強く、制限の是非が総選挙の争点となる可能性がある。 民主党は、3親等以内の親族が連続して同じ選挙区から立候
民主党は23日、政治改革推進本部(岡田克也本部長)の総会を開き、国会議員の世襲について、同じ選挙区から親族が続けて立候補することを認めない方針を決めた。次の総選挙から適用し、マニフェストにも盛り込む。世襲が多い自民党との違いを強調し、小沢代表の秘書をめぐる違法献金事件で傷ついた党のイメージ回復を図りたい考えだ。 国会議員が子孫や娘婿ら親族に後援会など地盤を引き継ぐ世襲については、「政界への人材供給が限定される」と批判が強まっている。民主党は今年に入り、岡田氏を中心に制限を検討。世襲の衆院議員が党全体の約3分の1を占める自民党でも菅義偉選挙対策副委員長らを中心に検討が始まったことも踏まえ、政治改革に積極的な姿勢をアピールするため、結論を急いだ。 具体的には、現職議員の引退や死去などを受け、同じ選挙区で親族が立て続けに立候補することを認めない。制限期間などは今後詰める。岡田氏は「親族」につ
昨日(3月31日)、自民党の勉強会に呼ばれた。会合は、衆議院本会議直前、自民党本部で開かれた。内容は、世襲制度の禁止について、筆者に話をしてくれというもの。二世政治家が少なくない自民党でのこうした動きは、これまでにはなかったと記憶している。 主催は「自民党を刷新する第三世代の会(仮称)」。柴山昌彦氏、早川忠孝氏、松浪健太氏らが中心の勉強会の設立準備会である。会議冒頭、代表世話人のひとりである松浪氏がこう語った。 「現在のままでいれば、自民党の明日はない。私たちは先鋭的に提言するのではなく、実行していく。そうした党の刷新のためにはタブーを恐れず、なんでも話し合っていきたい。こうした会合への上からの圧力には決して屈せず、横からの誘惑にも負けず、内からの流血も厭わない。そうした決意でやっていくつもりです」 講演とはいうものの、後半は、フリーディスカッションに近く、スピーカーの筆者にとっても
民主党の鳩山由紀夫幹事長は18日、東京都内で講演し、衆院選の争点に関し「世襲禁止は大きなテーマ。マニフェストに採り入れたい」と語った。親族が立候補する場合、「同一選挙区でも(議員の引退から)5年とか10年たてば影響力が少なくなる。年数の制限を入れればいい。小泉元総理のご子息が出る選挙区もあるが、我が党はそういうことはしない」と説明した。 鳩山氏は曽祖父から国会議員を務める「四世」だが、選挙区自体は継いでいない。
宮司人事をめぐり揺れる宇佐神宮=大分県宇佐市南宇佐 大分県宇佐市の宇佐神宮が後継ぎ争いに揺れている。昨年8月に死去した前宮司の後任を、神社本庁(東京都)が別の神社の宮司から選んだことに地元信者らが反発。地元側は2月下旬、長く宮司を世襲してきた到津(いとうづ)家の長女を初の女性宮司に決め、神社本庁に脱退届を提出した。 宇佐神宮の宮司は長く到津家と宮成家が務めてきたが、戦後は到津家だけで世襲してきた。73年から宮司を務めた到津公斉(きみなり)氏(今年1月死去)が体調を崩したため、06年5月、宇佐神宮とかかわりの深い同県中津市の薦(こも)神社の宮司だった池永公比古(きみひこ)氏が後任についた。世襲家以外からの異例の人事だったが、公斉氏の長女でナンバー2の権宮司を務める克子(よしこ)氏(40)が、十分な神職の経験を積むまでのピンチヒッター役と見られていた。 ところが、池永氏は昨年8月に病死し
小泉純一郎の「親バカ」引退宣言で世襲議員は増えつつあると見られがちだが、政治学者の成田憲彦(62)によれば、現実は逆だ。麻生内閣は首相自身と閣僚の半数以上が世襲だが、それは2、3世が大量当選した中選挙区時代の残照に過ぎないという。小選挙区制導入で世襲は減っており、どうやら11月30日らしい次期総選挙でさらに減るというのだ。 成田が国会議員の出自と学歴を調べて「大学ランキング2009年版」(朝日新聞出版)に寄稿したリポートの中に面白いデータがある。2世と3世は衆院の自民党に集中し、それも若いほど少なく、古参ほど多いというのである。 大づかみに言って、若手(当選1~3回)の間では2、3世は5人に1人。それが中堅(4~6回)で3人に1人、ベテラン(7~9回)では2人に1人と増え、当選10回以上の古参組になると、実に5人中4人までが世襲だという。 「世襲内閣は中選挙区時代の残照」という成田説は、安
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