ユーロ危機が常態化している。その間に、主要通貨に対するユーロ安がすっかり定着した。危機の端緒となった2009年のギリシャ総選挙以降、今年7月末までのユーロの下落率を見ると、対ドルで16.4%、対円で38.6%、そして対G10(主要10カ国)通貨平均では23.6%と、ユーロ大幅安が全面的に進行している。 もっとも、こうしたユーロ安に意外感をもつ読者は少ないだろう。債務危機によるユーロに対する信認低下や景気減速、そして欧州中央銀行(ECB)による緩和強化と、通貨安要因は枚挙に暇がないからだ。筆者も含め、多くの市場参加者にとっても、ユーロの大幅下落は予想通りの結果といえる。 ただし、筆者は、確かにユーロ安は危機の「結果」、言い換えれば「症状」である一方で、それが危機の衝撃を和らげる「緩衝材」、つまりは「処方箋」の1つにもなっていることに注目したい。危機打開が難航しているユーロ圏では通貨安が歓迎さ