環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が国論を二分し、大きな関心事となっている。当初は菅直人首相による官邸主導でTPPへの参加が実現するかと思われたが、その後反対派の巻き返しから、目下先行きがまったく不明な状況である。明らかに「輸出促進」対「農業保護」のせめぎあいの縮図となっているが、両立は困難でどちらかに重きをおいた政策選択しかありえない。従来の思考や既得権益擁護の枠組みでは問題を解決できないだろう。 狭い国土で資源の乏しい日本にあって、われわれはこれまでどう生きてきたか、またこれからどう生きねばならないかに議論の余地はあるまい。輸出によって稼いだカネで、国内では産出できない石油や希少資源などを海外から購入し、生産・消費に充当するしかない。ということは対外的に自由貿易圏内に所属し関税を次第に撤廃し、輸出入を自由化する道が残されているのみである。つまり国際社会において通商立国を宣言するし