自分よりも他人の利益を優先する「利他」。コロナ禍で他者への配慮が求められる社会となり、多くの人から注目されている。お互いを思い合うことは、自分自身の支えにもなる。日常の営みの中に上手に取り入れるためのポイントを、研究者と僧侶にそれぞれ聞いた。2回に分けて紹介する。(山田祐) つながりがなくては生きていけない ―コロナ禍で「利他」への関心が高まっています。 当たり前にあった他者との交流が、コロナ禍以降、難しくなりました。その結果、人はつながりがなくては生きていけないのだとみんなが気付かされました。 そもそも利他とは、意図して行うものではないと私は考えています。たとえばちょっとした心配り。あるいは当たり前にある「常識」もそうです。 なぜ私たちが常識を持つのかといえば、社会の中で1人で生きることは不可能だからです。みんなで少しずつ他人のことを考えながら生きる。その英知の結晶が常識だと思うんです。