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ブックマーク / crisscross.jp (31)

  • +++『ラストナイト・イン・ソーホー』 エドガー・ライト 文:大場正明+++

    60年代ロンドン・ソーホー地区の夢と悪夢 ジャッロ映画に触発され、 『黒水仙』が透けて見えるサイコホラー [Introduction] 『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホットファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』、『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督の新作。ヒロインのエロイーズとサンディは、ロンドン・ソーホー地区の異なる時代に存在し、ある恐ろしい出来事によって、それぞれが抱く“夢”と“恐怖”がシンクロしていく。エロイーズを『ジョジョ・ラビット』『オールド』などに出演し、活躍目覚ましいトーマシン・マッケンジー、サンディを「クイーンズ・ギャンビット」で脚光を浴びたアニャ・テイラー=ジョイが演じる。エドガー・ライト監督が60年代ロンドンのファッション音楽、そしてホラー映画への愛を込めて贈るタイムリープ・サイコ・ホラー。(プレス参照) [Story] ファッションデザイナーを夢見る

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    okbc99 2021/12/08
  • +++『ブエノスアイレスの殺人』 ナタリア・メタ 文:大場正明+++

    [ストーリー] 80年代、アルゼンチンが軍政から民政へと移行した後のブエノスアイレス。敏腕警部チャベスは、ある男の凄惨な殺人事件現場に駆け付ける。そこにはガンソと呼ばれる若い警官が先に到着していた。それを不審に思いつつも捜査を開始するチャベス。被害者は上流階級の一族の名士で、交友関係から彼の愛人ケビンが容疑者として浮上する。 ケビンが出入りするゲイクラブ“マニラ”を訪れたチャベスは、そこで同じように事件を調べていたというガンソに再び出会う。その後、ガンソも捜査に加わることになり、彼をケビンに接近させる潜入捜査が進められる。ケビンはガンソを信用し、あちこち連れ歩くようになるが――。 アルゼンチンの新鋭女性監督ナタリア・メタの長編デビュー作で、チャベス警部を、『ペルディータ』(96)、『野蛮なやつら/SAVAGES』(12)のデミアン・ビチル、若く謎めいた警官ガンソを、『瞳の奥の秘密』(09)

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    okbc99 2019/08/15
    “この『ブエノスアイレスの殺人』では、女性監督メタが、アニー・プルーの視点を引き継いで、男同士の関係におけるホモソーシャル=ホモフォビアの図式を覆していることにもなります。”
  • +++『サーミの血』 アマンダ・シェーネル 文:大場正明+++

    [ストーリー] 1930年代、スウェーデン北部のラップランドで暮らす先住民族、サーミ人は差別的な扱いを受けていた。サーミ語を禁じられた寄宿学校に通う少女エレ・マリャは成績も良く進学を望んだが、教師は「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げる。 そんなある日、エレはスウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで都会的な少年ニクラスと出会い恋に落ちる。トナカイを飼いテントで暮らす生活から何とか抜け出したいと思っていたエレは、彼を頼って街に出た――。 [以下、作のレビューになります] サーミ人の血を引く女性監督アマンダ・シェーネルは、プレスに収められたインタビューで以下のように語っている。 「存命している老齢の親類の中には、自分もサーミ人なのにサーミを嫌う者がいます。つまり、アイデンティティを変えた者と、留まった者との対立が、私の一族の中にまだあるのです」 シェーネルの長編デビュー作『サーミ

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    okbc99 2018/08/26
    “では、シェーネルはこの少女を通して何を描いているのか。本人が意識してそうしたのかどうかは定かではないが、この映画には、イニシエーション(通過儀礼)を描く神話的な物語の定型が取り込まれている。”
  • +++『懺悔』 テンギズ・アブラゼ 文:大場正明+++

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    okbc99 2018/02/16
  • +++明らかになるミンストレル・ショーの真実――差別的と見なされてきた芸能を再検証する 文:大場正明+++

    ミンストレル・ショーという19世紀アメリカの大衆芸能をご存知だろうか。これは、焼きコルクで顔を黒塗りにした白人の芸人たちが、黒人の会話やユーモア、歌やダンスの物真似をするショーである。アメリカではそれまで大衆芸能といえば、ヨーロッパの伝統を引きずったものが主流を占めていたが、国産の芸能として登場したミンストレル・ショーが1840年代に人気を集め、その後半世紀にわたって最もポピュラーな娯楽として発展していくことになる。皮肉にもアメリカが抱える奴隷制度という問題が、オリジナルな大衆芸能を生みだす基盤となったわけだ。 このミンストレル・ショーは、アメリカ歴史のなかで実に様々な分野に多大な影響を及ぼしていく。このショーは、黒人に対して白人がいだくイメージの原型を作りあげ、それが皮肉なドラマを生みだすのだ。南北戦争で解放された黒人たちがショー・ビジネスの世界に進出してきたとき、彼らの多くは白人の社

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    okbc99 2017/09/29
    “つまり、ミンストレル・ショーは、当時の社会に不満を持つ白人と黒人の文化の融合から誕生したきわめて先鋭的なパフォーマンスだった。差別的であるどころか、差別に対抗する姿勢がかたちとなって現われたものだっ
  • +++『君はひとりじゃない』 マウゴシュカ・シュモフスカ 文:大場正明+++

    ポーランドの俊英女性監督マウゴシュカ・シュモフスカの新作『君はひとりじゃない』では、家族を亡くす喪失の痛みが、独自の視点と表現で掘り下げられていく。映画の原題“Body”が示唆するように、彼女は身体を通してそれをとらえようとする。但し、彼女が考える身体が、私たちがイメージするものと同じだとは限らない。 この映画の冒頭で描かれるエピソードには、誰もが驚きや戸惑いを覚えることだろう。警官たちが、人気のない場所で首を吊った男の死亡を確認する。ところが、その死体がむくりと起き上がり、どこかに歩き去っていく。このエピソードだけならほとんどホラーだが、物語が進むと、この監督が死体や幽霊も含めた身体に注目していることがわかるはずだ。 この映画には、喪失感に苛まれる3人の人物が登場する。まず、/母親を亡くしたヤヌシュとオルガの父娘だ。検察官であるヤヌシュはの死後、事件現場で死体を目にしてもなにも感じな

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    okbc99 2017/08/15
  • +++『ラビング 愛という名前のふたり』 ジェフ・ニコルズ 文:大場正明 +++

    さらに、この映画の背景となる50~60年代が郊外化の黄金時代にあたることにも注目しておくべきだろう。戦後の好景気のなかで、中流の白人たちは、過密、騒音、犯罪、人種対立などの問題を抱える都会を離れ、真新しい閑静な郊外住宅地に続々と転居していった。そして都会には、貧しいマイノリティの人々が取り残されることになった。ラビング夫がワシントンD.C.の生活で目にしているのは、そんな取り残された人々の世界である。 もちろん南部もずっと農業中心ではなく、北部に近い形態へと変化していくが、社会の質的な部分まで変わるわけではない。南部人の視点でアメリカを見直すジェームス・M・バーダマンの『ふたつのアメリカ史――南部人から見た真実のアメリカ』では、産業化、都市化が進んだ現代の南部が以下のように表現されている。「南部産業界に特徴的なことだが、労働者は、遠く離れた大都市に移動せずに自分たちの土地にとどまり、家

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    okbc99 2017/08/12
    “彼(ジェフ・ニコルズ)は南部で生まれ、南部の大学で映画製作を学び、大学時代は南部の現代作家の小説に傾倒し、監督として南部を舞台にした映画を作りつづけている。”
  • +++『スペクタキュラー・ナウ(原題)/The Spectacular Now』 ジェームズ・ポンソルト 文:大場正明+++

    [ストーリー] 高校の卒業を控えたサッターには将来の夢や目標もなく、パーティに通い、酒に溺れ、女の子を追い回すことしか頭にない。ガールフレンドのキャシディは先のことを考えないサッターに嫌気がさし、別の男子マーカスと付き合うようになる。そんなとき、サッターは偶然にエイミーに出会う。 エイミーは学校ではまったく目立たず、SFやコミックに熱中していて、母親のバイトを手伝って新聞を配達するような女の子だった。そんなエイミーに興味を持ったサッターは、彼女をパーティに誘い、酒の味を覚えさせる。そして、大学への道が開けていながら、母親や弟のことを気にかけ、家族に縛られている彼女に自立をうながす。だがやがて、今度はエイミーがサッターに影響を及ぼすようになり、彼は自分と向き合おうとするが――。 『スマッシュド~ケイトのアルコールライフ~』(12)につづくジェームズ・ポンソルト監督の長編第3作『スペクタキュラ

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    okbc99 2016/09/17
  • +++映画に見る台湾の過去と現在、そして個人の在り方――『恋人たちの食卓』『多桑 父さん』『エドワード・ヤンの恋愛時代』『青春神話』『愛情萬歳』 文:大場正明+++

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    okbc99 2016/05/29
  • +++『イリュージョン』 パヴェウ・パヴリコフスキ  文:大場正明+++

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    okbc99 2016/03/09
  • +++『メン&チキン(英題)/Men & Chicken』 アナス・トーマス・イェンセン 文:大場正明+++

    家として活躍するイェンセン、10年ぶりの監督作 家族の真実に翻弄される兄弟をめぐるブラック・コメディ 日ではアナス・トーマス・イェンセンといえば、スサンネ・ビアやクリスチャン・レヴリングと組む引っ張りだこの脚家という印象がありますが、デンマークでは監督としても活動し、評価されています。 『メン&チキン(英題)/Men & Chicken』は、イェンセンにとって監督第4作になります。もちろん脚も手がけています。ただし、前作『アダムズ・アップル(英題)/Adam’s Apple』が2005年製作なので、10年ぶりの監督作ということになります。 くたびれた大学教授のガブリエルと女好きのエリアスという対照的な兄弟の父親が亡くなりますが、彼らはその父親が遺したビデオで、実父が他にいて、まだ生きていることを知り、当の家族に会いにいくというような物語です。 ガブリエルとエリアスの兄弟を演じて

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    okbc99 2016/02/05
  • +++ 大場正明『サバービアの憂鬱』 第18章 郊外のティーンエイジャーに襲いかかる悪夢 『ハロウィン』、ウェス・クレイヴン PAGE-01+++

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    okbc99 2016/01/10
    “主人公のベビーシッターは、そんな町のなかで見知らぬ男につけまわされる。だが、友人たちは、男の存在に気がつかない。”
  • +++『ローマに消えた男』 ロベルト・アンドー 文:大場正明+++

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    okbc99 2015/12/14
  • +++『フレンチアルプスで起きたこと』(レビュー01) リューベン・オストルンド 文:大場正明 +++

    [ストーリー] スキー休暇を過ごすためにフレンチアルプスにやって来たスウェーデン人一家の5日間の物語。1日目はそろってスキーを楽しむが、2日目にトラブルが起こる。山腹のテラスで一家が昼をとっているときに、付近の山で雪崩が起こる。テラスにいた人々はそれを写真やビデオに収めるが、気づけば近くまで迫っている。そのとき父親がとった行動が、その後の家族の関係に複雑な波紋を広げていく。 スウェーデン出身の異才リューベン・オストルンド監督(『インボランタリー(英題)』『プレイ』)の新作です。第67回カンヌ国際映画祭のある視点部門で審査員賞を受賞しています。2015年7月上旬、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。 とりあえず簡単に感想を。オストルンド監督は、もともとスキーに熱中し、スキーを中心としたスポーツのドキュメンタリーから映像作家としてのキャリアをスタートさせた人なので、スキーリゾ

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    okbc99 2015/08/26
  • +++『SAFE』トッド・ヘインズ 文:大場正明+++

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    okbc99 2015/05/26
  • +++ミシェル・フランコ/Michel Franco |レビュー・リスト 新作情報 DVD+++

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    okbc99 2015/05/22
  • +++アナス・トマス(トーマス)・イェンセン/Anders Thomas Jensen |レビュー・リスト 新作情報 DVD+++

    1972年4月6日、デンマーク・フレデリックスバエルク生まれ。90年代の終わりから現在にいたるまで、イェンセンの脚はデンマーク映画界の興行成績に大きく貢献してきた。代表作に『ミフネ』(98年/ソーレン・クラーク=ヤコブセン監督)や『キング・イズ・アライブ』(00年/クリスチャン・レヴリング監督)などがあるが、何よりも『しあわせな孤独』(02年)から始まったスサンネ・ビア監督作品で名高く、以後、『ある愛の風景』(04年)、『アフター・ウェディング』(06年)、『未来を生きる君たちへ』(10年)でタッグを組み、作が5作目のコラボレーション作品になる。監督としては、2000年に『ブレイカウェイ』で長編監督デビューを果たし、その後、『フレッシュ・デリ』(03)、『アダムズ・アップル』(05)、『メン&チキン』(15)で監督・脚を務め、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』が5作目の長編監督作にな

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    okbc99 2015/05/13
  • +++『イマジン』 アンジェイ・ヤキモフスキ 文:大場正明+++

    『トリック』では、母親と姉と暮らす少年が、駅である男性を見かけ、記憶はないものの一家を捨てた父親だと確信し、様々なトリックを仕掛けて彼を母親のもとに誘導しようとする。この映画でも少年の大胆な行動とともに観察力が強調される。彼は、老人が飼う鳩の群れが、老人が指を鳴らせば飛び立つのに、自分がやっても反応がないことにこだわり、観察によって鳩を飛ばせるようになる。 そんな『目を細めて』と『トリック』で、主人公が打破する必要に迫られる現状とは、共産主義から資主義へと移行した社会だった。『目を細めて』の少女は、資主義の世界で自分なりに生きるヒントをつかむ。『トリック』では、少年の行動と試行錯誤が、資主義への移行によって活力を失いかけた田舎町に求心力を生み出していく。 これに対して『イマジン』では、より普遍的な地平でそんな独自の世界観が浮き彫りにされていく。登場人物たちは、イアンに刺激され、闇の世

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    okbc99 2015/05/06
    “ エコーロケーション(反響定位)”あれ法螺話かと思ったら本当にあるのか。
  • +++『ギリシャに消えた嘘』 ホセイン・アミニ 文:大場正明+++

    [ストーリー] 1962年、ギリシャのアテネでツアーガイドをしている米国人青年ライダルが、パルテノン神殿で優雅なアメリカ人紳士チェスターとそのコレットとめぐり合う。リッチで洗練された夫にたちまち魅了されたライダルは、彼らのガイドを務め、楽しい夕のひとときを共にする。ところがその夜、チェスターがホテルの部屋に現れた探偵を殺害し、ライダルがその後始末を手助けしたことから3人の運命は激変。 実はチェスターは大勢の投資家を欺き、大金を奪った詐欺師だったのだ。船とバスを乗り継ぎ、偽造旅券が届くクレタ島へ向かう道中、ライダルはコレットと親密な関係となり、嫉妬心に駆られたチェスターは平常心を失っていく。やがて警察の捜査網にも追いつめられた3人は、後戻りできない破滅への道を突き進んでいく――。[プレスより] 『ギリシャに消えた嘘』は、90年代後半から脚家として活躍してきたホセイン・アミニの監督デビ

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    okbc99 2015/04/09
  • +++『おみおくりの作法』 ウベルト・パゾリーニ 文:大場正明+++

    [ストーリー] ロンドン市ケニントン地区の民生係、ジョン・メイ。ひとりきりで亡くなった人を弔うのが彼の仕事。事務的に処理することもできるこの仕事を、ジョン・メイは誠意をもってこなしている。しかし、人員整理で解雇の憂き目にあい、ジョン・メイの向かいの家に住んでいたビリー・ストークが最後の案件となる。 この仕事をしているにもかかわらず、目の前に住みながら言葉も交わしたことのないビリー。ジョン・メイはビリーの人生を紐解くために、これまで以上に熱意をもって仕事に取り組む。そして、故人を知る人々を訪ね、イギリス中を旅し、出会うはずのなかった人々と関わっていくことで、ジョン・メイ自身も新たな人生を歩み始める――。[プレスより] プロデューサーとして『パルーカヴィル』や『フル・モンティ』といった作品を手がけてきたウベルト・パゾリーニにとって、『おみおくりの作法』は、2008年の『マチャン(原題)/Mac

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    okbc99 2015/01/14
    “最も弱い者をどう扱っているかで、私たちがどんな世界を生きているのかがわかる。”