12月20日、政府は「社会保障と税の一体改革」に関する社会保障分野の改革素案を決定した。低所得高齢者向けの年金加算、子育て世代向けの給付拡充策、受給資格期間の25年から10年への短縮など、原則的に年金給付額を増やす方向でとりまとめられた。 だが、学習院大学経済学部の鈴木亘教授は、現在の年金問題の最大の問題点は「年金財政の維持可能性と世代間の不公平」だと語る。 鈴木氏は経済学者の立場から年金財政が破綻している現状を分析し、日本の社会保障制度の設計が根本的に間違っていることを訴えてきた。 年金財政の破綻はどれほど現実味を帯びているのか、また、厚生労働省が年金制度を設計する手順や仕組みにはどのような致命的な欠陥があるのかを鈴木氏に聞いた。 (聞き手:本多カツヒロ) 年金の破綻はすでに「今そこにある危機」 ── 2004年に自公政権下で「100年安心プラン」という、今後、100年、年金は大丈夫です