黒田日銀は、長期国債の保有額を2倍にし、ベースマネーも2倍に膨らませることで、インフレ期待に働きかけて、デフレからの脱却を目指すという政策を堅持している。しかし、本当にそうした政策は可能なのだろうか。 量的緩和(QE)は少なくともインフレ醸成には有効ではない。それは米国のここ数年の経験からも明らかである。2008年9月のリーマンショック後、米連邦準備理事会(FRB)は、三次にわたる大規模な資産購入プログラムを実施し、バランスシートを急膨張させてきたが、個人消費支出(PCE)コア価格指数を見ると、その間インフレ率は全く上昇していない。