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訳したに関するoptical_frogのブックマーク (1,096)

  • ノア・スミス「アセモグルとAIのマクロ経済学: 都合のいい仮定を選んで得られた結論の意義ってなんだろう」(2024年7月1日)

    [Noah Smith, “Acemoglu and the macroeconomics of AI,” Noahpinion, July 1, 2024] ダロン・アセモグルといえば,いままさに最盛期にある経済学者で,おそらくもっとも名声が高くて業績がすぐれている人だ.そのアセモグルは,AI がお好きじゃない.彼はまるまる一冊を費やして,AI みたいなテクノロジーの発展が大量失業や格差拡大をいかにしてもたらすかを論じ,それを防ぐために規制が必要だと主張している.ぼくは,このをちっともよく思わなかった(日語記事). ただ,興味を引く点はあって,それは,AI による経済成長の加速はゼロではないまでもほんのわずかでしかない一方で人間の労働者たちは困窮させられるとアセモグルが考えている点だ.たいてい,こういう主張は「成長 vs. 格差」の構図で論じられる.でも,アセモグルの考えでは,AI

    ノア・スミス「アセモグルとAIのマクロ経済学: 都合のいい仮定を選んで得られた結論の意義ってなんだろう」(2024年7月1日)
  • サイモン・レンルイス「量的緩和が質的に重要であって量的にさほど重要でない理由」(2024年5月21日)|経済学101

    最近,量的緩和 (QE) がどんなところで重要な役割を果たしたかについて2つほど記事を書いた.たとえば,こちらの記事では,量的緩和が政府財政に大きな穴を開けることになりうる理由について書いた.また,政府がその気になれば国債を売るのではなく貨幣創出によって容易に財政赤字のお金を調達できることが量的緩和からどうわかるのか,という点についても書いた.今回の記事では,量的緩和が質的に重要である理由を解説する. この10年のあいだに書いた記事のひとつも,類似の主題に関わっていた.緊縮の背後にあった主要な発想は,こういうものだった――「景気後退にあろうとも政府の財政赤字を減らさなくてはいけない.なぜなら,イギリス政府の債券を買うまいと債券市場が突如として判断するかもしれないからだ.」 この発想がナンセンスであることは,量的緩和で明らかになった.量的緩和は,より長期の金利を低く維持するべくイギリス政府の

    サイモン・レンルイス「量的緩和が質的に重要であって量的にさほど重要でない理由」(2024年5月21日)|経済学101
  • ノア・スミス「書評:ブラッドフォード・デロング『20世紀経済史――ユートピアへの緩慢な歩み』」(2022年6月12日)|経済学101

    「きれい……みんなが死んだ場所なのに」(中川典子) 出版前の書評を書くのは,これがはじめてかも! ありがたいことに,ポッドキャストのホスト役をいっしょにやっているブラッド・デロングの近刊を一冊確保できた.出版予定日は9月6日だ.それまでの場つなぎとして,高まってるみんなの期待をこの書評で支えられたらいいなと思う. ブラッド・デロングは現在経済史に関して百科事典のように通暁してる.それでいて,読者をおじけづかせない文体の書き手でもある――かく言うぼくが経済学ブロガーになりたいと思った最初のきっかけは,2000年代中盤に彼のブログを読んだときのことだった.彼のを読み始めると,その「デロング節」にどんどん引き込まれてしまう――愉快な事実を次から次に繰り出しつつ,デロングのありとあらゆる知識をその物語で統合してみせる.読みはじめは少しばかりとっつきにくく感じるかもしれないけれど,慣れてしまえ

    ノア・スミス「書評:ブラッドフォード・デロング『20世紀経済史――ユートピアへの緩慢な歩み』」(2022年6月12日)|経済学101
  • ノア・スミス「自由民主主義はこんな風に21世紀を失うかもしれない」(2024年5月22日)|経済学101

    情報と自由に関するちょっとゾッとするささやかな理論自由主義が勝利の凱歌をあげている時代に,ぼくは育った.自由民主主義が勝利して,20世紀をわがものにした――帝国主義もファシズムも共産主義もみんな崩壊して,20世紀末には,アメリカとアジア・欧州の民主主義同盟国が経済面でも軍事面でも上り調子だった.中国ですら,依然として独裁国家ではありつつも,この時期に経済と社会の一部を自由化した.フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』に鼻白んだ学者たちも,総じて,資主義および/あるいは自由民主制が平和・幸福・繁栄を育んだという主張に好意的だった.「勝利したのは他でもなく自由だ」という感覚が,圧倒的に強かった――思っていることを語る自由,好きなように生きる自由,のぞむままに売り買いする自由こそが勝利したんだという感覚が大勢を占めていた. それからほんの20年後のいま,「自由こそが勝者」という考えは,深い疑い

    ノア・スミス「自由民主主義はこんな風に21世紀を失うかもしれない」(2024年5月22日)|経済学101
  • ノア・スミス「アメリカには超党派の『ネオポピュリスト』共通意見ができてる?」(2024年5月27日)

    デイヴィッド・レオンハートが『ニューヨークタイムズ』に素晴らしい記事を書いて,最近のアメリカ政府で起きてる2つの流れをまとめている.この2つだ: 静かに強まる超党派の動き(マット・イグレシアスのいう「隠れた議会」) ネオリベラリズムから産業主義への経済思考の転換 レオンハートはこの転換の背後にある2つの要因を言い当てている(と,ぼくは見てる): 中国主導の権威主義体制ブロックの台頭.その力はアメリカのそれに匹敵するか,上回ってすらいる. ネオリベラル政策が労働者階級の助けにならなかったように見えること. ちょっと記事から抜粋しよう: 多くの進歩派と保守派にとって中道主義という考えは柔弱な穏健ぶりを思わせ,忌むべき対象だ.だが,新しい中道主義は,必ずしも穏健なばかりではない.人気のソーシャルアプリ売却の強制がおずおずした行動かといえばそんなわけもなく,中国ロシアと対立するのも同様だ.アメリ

    ノア・スミス「アメリカには超党派の『ネオポピュリスト』共通意見ができてる?」(2024年5月27日)
  • ノア・スミス「中国製品への関税で他の多くの国々がアメリカのあとに続くだろう理由」(2024年5月19日)

    経済学には,「シュタッケルベルグ競争ゲーム」っていう古い理論がある.あらゆる企業が同時に自分たちの商品・サービスの価格を設定するんじゃなくて,ひとつの重要な企業が価格を設定して,残りの企業のペースを定めてしまうんだ.最初に動く先行者とその追随者がいる状況では,基的にこのゲームが現実を単純化した表現になっている(先行者も追随者も,それぞれ単数かもしれないし複数かもしれない).シュタッケルベルグ・タイプのモデルを使って,国際貿易政策を分析している人たちもいるし,ごくわずかだけど,アメリカ-中国間の競争にこの考えを応用している人たちもいる. いずれ,いま世界中で起こりつつある貿易戦争についてシュタッケルベルグ・タイプの論文を書く人もそのうち現れるんじゃないかとぼくは見てる.一般に,中国がこのゲームでの「先行者」だ.なにしろ,中国の送り出してる洪水のような輸出製品によって他の国々は保護主義的な対

    ノア・スミス「中国製品への関税で他の多くの国々がアメリカのあとに続くだろう理由」(2024年5月19日)
  • ノア・スミス「日本は外国人嫌いの国じゃないよ」(2024年5月7日)|経済学101

    には大勢の移民がやってきているし,移民推進政策もやっているし,人々はおおむね移民受け入れに前向きだ先日,選挙資金集めの集会でジョー・バイデンが何の気なしに口にした言葉は,彼が大統領の任期中にこぼしたなかでも最悪の失言だったとぼくは考えてる.アメリカにとってとりわけ重要な同盟国であるインドと日を「外国人嫌い」と言い放ち,さらに,ロシア中国と同列に括ってしまった: 「まあ,アメリカ経済がいま成長しているのはなぜかと言えば,ひとつには,みなさんや他の人々のおかげですよ.なぜか? 我々は移民を歓迎しているからです.ちょっと考えていただくとですね,なぜ中国がいまあれほど経済的にひどく失速しているのでしょう? どうして日が困難を抱えているのでしょう? ロシアがああなっている理由は? インドは? 外国人嫌いが理由です.彼らは,移民をもとめていないのです」とバイデンは語った.これは,ホワイトハウ

    ノア・スミス「日本は外国人嫌いの国じゃないよ」(2024年5月7日)|経済学101
  • ノア・スミス「アメリカは日本で(そして韓国でも)軍艦をどんどん建造する必要がある」(2024年5月10日)

    By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0 アメリカは,海軍の艦艇建造に大問題を抱えている.それに,商船の造船産業も大したことがない.いま,多くの人たちが,正当にもこの件で頭を抱えている.というのも,この船舶建造能力の問題で,アメリカ中国との大規模な戦争に負けるという差し迫った危機に瀕してしまうからだ. 「じゃあ,どこが船舶をつくれるの?」 日韓国だ.どちらもいかにも小さそうなアジアの同盟国だけど,両者を合わせると,その造船産業は中国のそれとほぼ互角だ.さらに,商船の造船規模こそ韓国の方が大きいけれど,日は複雑なハイテク海軍艦艇もつくれる.先だって,第二次世界大戦いらい初の空母を建造したばかりだ. すると,単純な解決案が浮上してくる:アメリカ海軍の艦艇を日で建造すればいい.そうすれば,短期的にアメリカの艦艇調達問題を解決する助けになる.それに,日製品の

    ノア・スミス「アメリカは日本で(そして韓国でも)軍艦をどんどん建造する必要がある」(2024年5月10日)
  • ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)

    移民受け入れを支持する人間として,ぼくは懐疑的な人や批判的な人に耳を貸すようにつとめてる.どんな国にも,自らがのぞむならどんな人間でも招き入れる権利がある――あるいは,入国を拒否する権利がある.移民の流入で自分たちの文化が変わってしまうのを人々が心配しているなら,それは完璧に許容されるべき態度だ. ただ,それと同時に,移民流入制限派の人たちは移民受け入れにともなう経済的な害悪をあれこれとたくさん主張している――賃金低下,政府財政への負担,などなど.それでいて,そういう主張はずっと証拠と矛盾しつづけている. たとえば,多くの証拠から,移民流入は――低技能移民の流入ですら――現地生まれの人たちの賃金や雇用の見通しに悪影響を及ぼしていないことが明らかになっている〔日語版記事〕.最近出た Michael Clemens & Ethan Lewis の論文を見てみると,この研究はとても「きれい」な

    ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)
  • ノア・スミス「パレスチナ抗議運動は若者世代を代表していない」(2024年5月10日)

    パレスチナ抗議運動が Z世代に活動家の情熱の火をともしていないのがあらわになっている.それどころか,たいていの若者は,これがまるごと終わってくれるのをただ静かに待っている. 我ながら,パレスチナ抗議運動について書くのにはだいぶ飽きてる.2週間前の記事で言いたいことはだいたい言い尽くしていて,この運動全体がちょっとつまらないというのがぼくの中心的な論点だった.ただ,最近出たこの世論調査の結果は掲載した方がよさそうだ.というのも,ぼくが言ってたことはだいたいこれで裏付けられるからだ. Generation Lab は1250名の大学生を対象に調査を実施して,自分がとくに重要だと思う3つの問題を彼らに選んでもらった.パレスチナに言及したのは,たった 13% だけだった: Source: Axios この世論調査について,Axios がもうちょっと詳しいことを言っている: 抗議運動のいずれかの側に

    ノア・スミス「パレスチナ抗議運動は若者世代を代表していない」(2024年5月10日)
  • ノア・スミス「ウォーク資本は競争の弱いところで栄える」(2024年4月22日)

    過去10年というもの,アメリカの多くの大企業は純粋な収益に傾注することから離れて,社会的・政治的な活動に力を入れるようになった――たいていは,進歩派〔左派的〕な方向での活動だ.この減少は,しだいに「ウォーク資」(woke capital) として知られるようになった〔woke は,差別や不公正に敏感な態度を示す傾向を意味する〕.Fan (2019) は,この傾向をこんな具合にまとめている: Apple, BlackRock, Delta, Google(現Alphabet),Lyft, Salfesforce, Starbucks といった名だたる企業が,近年,さまざまな社会問題について非常に公の態度をとっている.かつて,企業はもっぱら社会問題を前に沈黙していた.いまや,その逆になっている――企業は,社会運動で顕著に人目につく役割を果たしており,ときに,企業が議論を先導している場合もある

    ノア・スミス「ウォーク資本は競争の弱いところで栄える」(2024年4月22日)
  • ノア・スミス「アメリカでインフレが再燃しつつある」(2024年4月30日)

    さて,今回の小ネタ選集は,ちょっと憂なマクロ経済ニュースで締めくくろう:どうやらインフレ率が再加速しつつあるようだ. 個人消費支出 (PCE) インフレ率(パーセンテージ変化,年率) / Source: Jason Furman もっとデータを見たい人は,ジェイソン・ファーマンの更新スレッドを覗いてみるといい.インフレ率の数字は,おおよそ全体的に上がってきている. なにが起きてるんだろう? フーシ派民兵による紅海航行の混乱も,ひとつの要因かもしれない.ただ,サンフランシスコ連銀の分析によると,3月のインフレの多くは需要側の要因に起因しているそうだ: 青が需要側要因のインフレ率,緑が供給側要因のインフレ率,黄色はどちらとも判別できない部分 / Source: SF Fed 利上げがあって,しかもパンデミック期の給付による貯金がおおよそ使い切られた状況で〔参考〕,需要側に起因するインフレの原

    ノア・スミス「アメリカでインフレが再燃しつつある」(2024年4月30日)
  • ノア・スミス「日本は通貨危機におちいってるの?」(2024年4月29日)|経済学101

    もしも日が通貨危機におちいったら,世界経済が土台から揺らいでもおかしくない.Photo by jun rong loo on Unsplashまだ,日の通貨は自由落下してはいない.でも,そうなるかもしれない.2021年から円は安くなってきているけれど,先月,その動きは加速した: 最新の為替相場では,円がさらに下げて,1ドル154円から160円にまで進んだ. この20年ほどのあいだ,日を訪れたときにはたいてい頭の中で「1円はだいたい1セントか,あとちょっぴり安いくらい」と考えておいて困らなかった.いまや,円はだいたい 0.63セントになってる.これはすごい値下がりっぷりだよね. 当然ながら,日の人たちはこの事態に動揺してる.もっともな反応だ.日は世界でも屈指の輸入依存国で,エネルギー供給の 90% 以上,料の 60% 以上を輸入している.円が安くなると,日の人たちはいきなり貧し

    ノア・スミス「日本は通貨危機におちいってるの?」(2024年4月29日)|経済学101
  • タイラー・コーエン「中学校でのスマホ禁止に関するノルウェーでの研究――Twitterで聞いた話とちがうかも?」(2024年4月25日)

    Sara Abrahamsson による新しい論文がこちら.ノルウェーのみに当てはまる事情も働いているのかもしれないけれど,研究結果はぼくの予想とだいたい合ってる.基的な状況は次のとおり.中学校でスマートフォンが禁止されたものの,禁止の実施率はノルウェー各地でまちまちだった(し,外生的だ).中核的な発見をいくつか見てみよう.実際に論文を読んでみると,Twitter に出回ってるいろんな要約から受けるのとはいくぶんちがった印象を受ける: 成績は改善した.たとえば,女子生徒の成績は 0.08 標準偏差の向上を示している.やる値打ちはあるけれど,一世代の子供たちを救うにはほど遠い.女子生徒の場合,いちばん向上したのは数学のスコアだった. 精神衛生関係の専門家に女子生徒が相談することが減った.〔心の問題での〕一般開業医の受診は平均 0.22 回減り,専門医の受診は 2~3回減った. 「専門医や一

    タイラー・コーエン「中学校でのスマホ禁止に関するノルウェーでの研究――Twitterで聞いた話とちがうかも?」(2024年4月25日)
  • ノア・スミス「安楽死の歪んだインセンティブ」(2024年4月3日)|経済学101

    「死んではいかが」とほのめかすのは,納税者のお金節約するいい方法じゃないね"Euthanasia" by alberto.biscalchin, CC BY-SA 2.0「税金を低いままにしたくって / 市長は悪ガキどもを殺してる」 ――The Weakerthans今回の記事では,繊細で扱いにくい話題をとりあげる:安楽死,別名「死亡幇助」について語ろう. 原則として,安楽死はしてもいいとぼくは思ってる.頭脳が正常な状態にあるかぎりなら,おぞましい苦痛を耐えながら生き続けるかわりに死ぬのを選ぶ権利が人々にはあるとぼくは信じてる.安楽死のことを考えても,ぼくは嫌悪感を覚えないし,心の奥に深く根ざした道徳的禁忌に触れたりもしない.この点についてぼくと意見がちがう人は――あらゆる人命は神聖でどんなコストを払ってでも守らなくてはいけないと思ってる人や,さらには,どうにも言い表せないけれど安楽死

    ノア・スミス「安楽死の歪んだインセンティブ」(2024年4月3日)|経済学101
  • ノア・スミス「『技術革新と不平等の1000年史』書評」(2024年2月21日)|経済学101

    ダロン・アセモグルとサイモン・ジョンソンの大著を読んでも,技術革新で自動化が進まないようにする必要があるって話に納得はできなかった. 「人類がなしとげた記念碑的な技術的偉業に目をくらまされてはいけない」――アセモグル & ジョンソン いたるところで「2023年の最重要ビジネス書」のリストに『技術革新と不平等の1000年史』が挙がっていたのは,意外でもなんでもないだろう.まず,著者たち自身の経歴からして,比肩する者がいない.ダロン・アセモグルのことを経済学界の発電所と呼んでも,人の実績にばかばかしいほど釣り合わない: 「2005年から2020年のあいだに経済学のトップ5学術誌に掲載された著者の苗字でワードクラウドをつくるとこうなる」それに,アセモグルは国々の発展を制度から説明する説の主要な提唱者でもある.これまでに,アセモグルは『国家はなぜ衰退するのか』やその続編の『自由の命運』(ジェイム

    ノア・スミス「『技術革新と不平等の1000年史』書評」(2024年2月21日)|経済学101
  • ノア・スミス「ジョー・バイデンが原子力を支援」(2024年3月29日)

    原子力発電は,グリーンエネルギーの主力にはなりそうにない.主力は太陽光発電だろう(蓄電用バッテリーと併せて).とはいえ,それでも原子力が重要なことには変わりないよ.なにより,建設済みの原子力発電所はたくさんある.ドイツやニューヨークがやったように,そしていまカリフォルニアがやろうという構えを見せているように,そういう原発を閉鎖するのは,気候変動危機を目前にした状況では狂気の沙汰ってものだ.それに,原子力は天然ガスの最後のシェアを置き換える「クリーンファーム」電力をもたらす有用な源泉だ.原子力発電に環境保護団体が反対するのは愚かしい. その一方で,これまで歴代の大統領は民主党だろうと共和党だろうと,原子力発電にリップサービスだけしておいて,支援はほとんどしてこなかった.トランプは原子力研究にちょっとお金を出させたけれど,既存の原子力産業を支援するお金は大して出させなかった. でも,ジョー・バ

    ノア・スミス「ジョー・バイデンが原子力を支援」(2024年3月29日)
  • ノア・スミス「週末の小ネタ:アメリカ社会の不穏な情勢が退潮しつつある小さなきざし」(2024年3月29日)

    アメリカの不穏な情勢はピークを迎えていると,かなり早いうちにぼくは発言していた――だいぶさかのぼって,2021年中盤のことだ.それ以来に起きたいろんなことは,その判断と広い範囲で整合している.ただ,もちろん,不正だとして選挙に異論が唱えられたり今年の大統領選挙でトランプが当選したりすれば,状況は大きく変わるかもしれない.ともあれ,社会の不穏な情勢はちょっぴり引き潮になりはじめている小さなきざしはひとつまたひとつと現れている. たとえば,2020年2月(パンデミックが全面的に社会を襲う前)に比べて,いまニュースウェブサイトを人々が見る量はだいぶ減っている.また,右派系ウェブサイトへのトラフィックを見ると,非主流・過激派サイトも主流派サイトも,いっそう流入数が減っている. Source: TheRighting 左派はどうかと言うと,ハサン・パイカーみたいな主要な左派系ストリーマーの視聴数も,

    ノア・スミス「週末の小ネタ:アメリカ社会の不穏な情勢が退潮しつつある小さなきざし」(2024年3月29日)
  • ノア・スミス「トンマなアンケート調査に気をつけて」(2024年3月9日)

    2ヶ月ほど前,こんな調査結果がメディアを騒がせた――アメリカ人の若者の20%がホロコースト否定派だというんだ: The Economist/YouGov の新しい世論調査によれば,18歳~29歳のアメリカ人の5分の1が,ホロコーストは迷信・でたらめだと信じている. この質問で調査対象になったのは約200名の人たちという小さな標でしかないが,反ユダヤ憎悪の高まり――とくに,アメリカの若者たちのあいだでのそれ――に対する懸念に信憑性を加えている. この調査の問題点はとにかく次の一点につきる――調査はまるっきりのゴミなんだ.この調査は「オンラインでのオプトイン方式世論調査」だった.つまり,インターネットでこの世論調査を見つけた人が誰でも回答できるものだったんだ.自分からネット世論調査を検索しにいきやすいのはどういう人たちだろうね? ネットの匿名荒らしと,あとは,世論調査にふざけた回答をしたくて

    ノア・スミス「トンマなアンケート調査に気をつけて」(2024年3月9日)
  • ノア・スミス「Twitter 入り浸りは精神衛生に有害」(2024年3月9日)

    ソーシャルメディア利用と精神衛生の悪化の相関を見出してる研究は山ほどある.でも,de Mello, Cheung, & Inzlicht によるこの研究こそが,ぼくにとっては真打ち登場って感じだ: 世間の論議では,よく,Twitter(現 X)がユーザーと社会に有害な影響を引き起こすと言われている.稿では,合衆国の Twitter ユーザーたちの代表的標から252人の参加者を得て調査を行うことで,この研究課題に取り組む.我々は,一日5回の質問を7日間にわたって継続した(6,218回の観察).調査結果から,Twitter 利用が幸福度の悪化および政治的二極化・怒り・帰属感覚の増加に関連していることが明らかになった.効果量は,社交的なやりとりが幸福度にもたらすものに近い.こうした影響は,人口統計上の特徴〔年齢や居住地域や就業状況など〕や性格特性を考慮しても一貫していた.データから推測される

    ノア・スミス「Twitter 入り浸りは精神衛生に有害」(2024年3月9日)