こんな日本語はありませんよ 戦時下、兵役していたある国語学者が所属部隊の統率方針を読んで、「こんな日本語はありませんよ」と部隊長に直接訴えかけたそうです。 当時としては珍しいエピソードで、その記録は軍部に今も残っているといいます。 部隊に掲げられていた統率方針、そこに書かれていたのは「積極的任務の遂行」という文だったのですが、学者は「これではだめだ、(任務の積極的遂行)とすべきです」と進言したのです。 その才気に感じて、以後、部隊長はその学者に目をかけ、前線送りから除外したため、「命拾いをした」と学者は後に語っているんですね。 〇(任務の積極的遂行)という言い方が正しくて、✖「積極的任務の遂行」という文はなぜ日本語として通用しないのでしょうか。 少しわかりやすくするため、他の例文を用いて解説したいと思います。 たとえば、シューベルトの曲が訳詞の標題にされた✖「美しい水車小屋の娘」というタイ