コロナ禍で多くの国民が実感したデジタル化の遅れ。それがいまコロナの影響を大きく受け、官民ともにデジタル社会の基盤づくりにようやく本腰を入れた段階に入った。そこにはデジタルの力によって社会や組織に変革を起こすDX(デジタルトランスフォーメーション)と正面から向き合い、本気で未来を変えようとしている人たちがいる。 6月に刊行された「ルポ 日本のDX最前線」(集英社インターナショナル)は、霞が関から小売、飲食、金融、製造、エンタメまでDXに取り組む企業の試行錯誤をノンフィクションライターの酒井真弓氏が追ったルポルタージュだ。経産省や金融庁、日清、コーセー、セブン銀行、コープさっぽろ、イカセンターなど、幅広い分野の組織のDXの現状を取材し、その現実に迫っている。(前後編の後編。前編「官公庁編」はこちら) ◆ ◆ ◆ 古いシステムに50億円かけて「サグラダ・ファミリア状態」に ——第2章ではまず「コ