【上海=白山泉】昨年に大規模な反政府デモが続いた香港で、中国政府への反逆行為などを禁じる「国家安全条例」の制定に向けた親中派議員らの動きが出ている。二〇〇三年に市民の反対で制定断念に追い込まれた条例だが、成立すれば言論の自由や人権が侵害される恐れがある。香港でも新型コロナウイルス拡大の影響で大規模デモの実施が困難な状況で、民主派は危機感を募らせている。 香港メディアによると、立法会(議会)の親中派大物議員、何君堯(かくんぎょう)氏が主導するグループは三月十五日、香港各地で条例制定を求める署名活動を実施し、署名した人にマスク一枚を配布した。ネット上でも署名を集め、何氏によると二十日間で約百万人が署名した。このうち23%が香港、その他が中国本土を含む香港以外だったという。 こうした動きに対し、民主活動家の李宇軒(りうけん)さん(29)は本紙の取材に「親中派は条例案の起草も進めているようだ。条例