何ものも命には替えがたい。しかし、国家にも家計にも予算があり、高価な新薬には誰もが手を伸ばせるわけではない。 アメリカの調剤医療費は、日本と同様に毎年増加する一方で、2019年で約34兆円に達しているが、日本の7兆円と比べる、人口が約3倍であることを鑑みてもかなり高いのがわかる。 なぜ、アメリカの調剤医療費がこれほど高いのか。これには諸説があり、医療訴訟で下る途方もない賠償判決が薬の単価に転嫁されるためだとか、難病や不治の病に対する旺盛な研究費が反映していたりするからだという分析がある。 新薬や特効薬が生まれにくい理由 実は、薬の価格においては大きなジレンマがある。製薬会社は不治の病に対する新薬や特効薬を開発しようとするが、その薬は1人でも多く、少しでも早く実際に投与して単価を下げていかなければならないものの、その第1歩がなかなか踏み出せない。 かなり高価な薬であるため、ほとんどの健康保険