「講談社学術文庫」の豊富なラインナップからお届けする「名著のチラ読み」企画、今月はギュスターヴ・ル・ボン『群衆心理』を読んでみましょう。革命や独裁者の出現経験した19世紀のおわり、「群集」という存在の非合理性について徹底的に考察したこの書物は、社会心理学研究の記念碑的名著であると同時に、現代のわれわれにもきわめて示唆深い一冊です。連載1回目は第一篇第二章第二節「群衆の暗示を受けやすく、物事を軽々しく信ずる性質」から。 荒唐無稽な伝説が簡単に流布される理由 さきに、群衆の一般的性質の一つが、過去に暗示を受けやすいことであると述べ、そして、どのような人間の集団にあっても、暗示がどんなに感染しやすいかを示した。この事実は、感情が速やかに一定の方向へ転換することの理由を説明する。 群衆は、どんなに不偏不党と想像されるものであっても、多くの場合、何かを期待して注意の集中状態にあるために、暗示にはかか
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