トランプ政権が導入を宣言した高関税政策を発端にした日米間の交渉が、停滞しているようだ。担当大臣となった赤澤経済再生相が、二度目の訪米を行ったが、むしろ一度目よりも雰囲気が悪い。そこで石破首相が、自動車の追加関税は「絶対のめない」と、いささか感情的になり始めた発言をしているのが気になる。メディアや識者の論調も、相変わらず感情論的なものが多い印象を受ける。 石破首相は、5月2日のインタビューで、米国の関税措置による対日貿易赤字削減について「手段としてはあり得る。できることはするが、それによって日本の雇用が失われてはならない」と強調した、と各メディアで報道されている。私は、どうもこの発言の意味がとれない。「貿易赤字」は、アメリカ側から見たときの言い方だ。この「貿易赤字」の削減は、トランプ政権にとって「目的」であって、「手段」ではない。もしこれを「手段」として認識するのであれば、トランプ政権はより
