秦の始皇帝の「焚書坑儒」以降、中国の歴代王朝は人民に自由なアイデアの創出と伝達を許さなかった。反乱を怖れ、それを独占した。近代に入ってもその伝統は続き、国民党も共産党もアイデア市場を抑圧した。 しかし、反乱の危険を抑える費用は、その利益をはるかに上回る。誤りや無知から試行錯誤して真実に近づくために、アイデアの自由市場が不可欠だ。 『中国共産党と資本主義』のこの項は、抑圧されている「思想の自由」がない限り、中国の飛躍はないと断言する。 中国にアイデア市場が出現するのを妨げる要因は、国家の干渉だけではない。歴史的事実として、国民党と共産党の支配下にあった中国の現代政治は、アイデア市場をまず受け入れたことはなかった。19世紀から20世紀にかけて、外からは西洋列強と対決し内では軍閥に蹂躙され、生き残りに必死だった中国に、初めて現われた現代の諸政党は、ともかくも国家の存続のことで頭がいっぱいだった。