力ずくの革新 「中国の飢えた虎」。国有半導体大手、紫光集団の趙偉国董事長はこんな異名をとる。2019年8月、その趙氏が内陸部の重慶市政府とDRAM工場を建設する契約を結んだ。「重慶は半導体メモリー工場を中核とした生産基地を整備するのにふさわしい」。DRAM工場建設には1兆円規模の資金が必要になるが、紫光と重慶市の契約には共同で投資ファンドを設けることも盛り込まれた。 世界3強に投資額匹敵 紫光は習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校である清華大学が設立母体。重慶市は習氏の側近とされる陳敏爾氏がトップを務める。産業補助金の後押しも受け、紫光が10年間で計画する設備投資は11兆円。その規模は米インテルなど世界の3強に匹敵する。 中国勢の半導体技術は米韓企業に見劣りするとはいえ、「適者生存」の市場原理から離れた国家主導の産業投資は世界の競争環境をゆがめる。鉄鋼や液晶などで繰り返された力ずくのイノ
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