戦争が地域の環境を破壊し、さらに各種の国家間協力にも支障をきたすことは論をまたない。とりわけ大国間のパワーバランスに大きな影響を与えるような戦争であれば、地球規模の国家間協力をも寸断する。地球科学や環境問題も例外ではない。なかでも武器提供、とりわけ劣化ウラン弾となれば、地球にも、人道的にも、深刻な環境問題となりかねないことを指摘したい。 戦争による分断 地球規模の影響 ロシアは北半球極域の3分の1以上の経度に広がり、陸地面積に限れば過半を占める国だ。極域現象に携わる者にとって、ロシアのデータは不可欠だし、観測を維持している研究者とのコンタクトは欠かせない。 だからこそ、冷戦さなかの国際地球観測年(IGY:1957-1959年)以来、地球科学の分野では「東西」の協力が続いてきた。 例えば宇宙天気現象(=太陽面爆発が電離層活動の増大などを通して送電線や通信などに悪影響を与える現象で、最悪の場合